司法書士の就職 | 新潟の司法書士ブログ

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司法書士法人トラスト代表社員、土地家屋調査士、行政書士

本日は、「司法書士の就職」について

 

司法書士、土地家屋調査士、行政書士その他の資格に合格した方は「就職して早い人は1年程度、普通は2~3年程度で実務を覚えたら独立」と考えている方が多いのではないでしょうか。

 

それはそれで全く問題ありません。将来的に独立開業するために資格を取ったと思うので当たり前だと思います。

 

しかし最近非常に残念に思うことがあります。司法書士業界・調査士業界等の人手不足の弊害なのでしょうか、匿名のSNS等でお世話になっている勤務先の批判、愚痴を書いている人が多いことです。

 

自身の業務能力不足、指示待ち、コミュニケーション能力不足、努力不足を棚に上げて勤務先を批判する。

「何か違うんじゃないかなあ」と思うところです。

 

 

そもそも試験に合格しただけで実力もない人が「自分自身の独立開業後のため」に実務を教わっているのです。

司法書士事務所に就職するという事は「実務講座」を受講することではありません。

独立後のために仕事を教わっているのですから、与えられた仕事をしっかり処理をしてその事務所に貢献しなければなりません。

 

有資格者が就職したという事は、その事務所は人手が足りず、「戦力」を求めているはずであり、忙しいはずです。その忙しい中を何もわからない合格者に一から教育していかなければならないのです。

それで、ようやく覚えてきたなと思ったときに「独立するので退職します」

果たして採用する側にメリットはあるのでしょうか。

そもそも勤務先の批判、愚痴を書いている人は独立することもできない人なのでしょうが・・

 

不満もいろいろあると思います

「給与が少ない」「残業が多い」「ミスをすると怒られる」

 

「給与が少ない」について

最近の司法書士事務所の求人を見ても以前と比較して司法書士の給与も相当改善されていると感じますがどうなのでしょうか。

また、一般企業と比較しても決して少ないわけではないと思います。

例えば新人資格者や補助者が薄給なのに所長だけが外車を乗り回し、飲み歩いているというのであれば問題ですが、そもそも司法書士事務所自体がそれほど利益率の高い業種ではないです。

もし本当にその資格者が事務所に貢献して必要な存在になれば必然的に給与もアップするはずですが・・

因みに地方事務所である私の事務所でさえ初任給固定残業代込月30万ですし、優秀な方であれば昇給も当然、賞与も年間7~8カ月以上の実績もあります。

地方でもこレベルなので首都圏ではもっといい待遇のところはたくさんあるのではないでしょうか。

 

「残業が多い」については、私も賛成ではないですが、人手不足の業界なのでそれぞれの事情があるのかもしれません。

もし、貴方が将来独立して仕事の依頼が思った以上にきているのに、勤務司法書士や補助者が定時で帰り、「残業しません」となった場合、所長である貴方一人で残業して処理するのでしょうか。

もし、そのような覚悟、考えであればそれはそれでよろしいと思います。

 

「ミスをすると怒られる」については、

何度も同じ失敗を繰り返していませんか?

指示待ちで言われたことしかできない人になっていませんか?

また、弊所では補助者の仕事ぶりが評価されて補助者宛に新たな取引先から仕事が来るという事が度々あります。

司法書士資格があり、取引先と接する機会が多数ありながら、全く質問や問い合わせが来ない。当然仕事の依頼も来ない。そんな司法書士になっていませんか?

 

 

 

仮に貴方に問題がなく、貴方が不満に思っている事務所が本当に問題のある事務所だとしたら安心してください。

近い将来、そのような事務所は、間違いなく人が定着せず衰退していきます。

 

経営者側から見て、仕事を真摯に頑張っている資格者に対して邪険に扱うという事はないはずです。

経営者も人間です。その人の姿勢に問題があるから対応が冷たくなるのではないでしょうか。

 

私は、司法書士試験合格した後、3か月間先輩の事務所にお世話になりました。

その当時、私自身、妻と3人の子供がいる状況でしたので生活もありましたが待遇面や指導方法についてとやかく言える立場ではないと思っていました。「とにかく仕事を教えていただいているんだ」という気持ちで働かせていただきました。

当初から3か月という契約であり、その後も非常にいい関係を持たせていただき、今でも先輩には感謝の気持ちでいっぱいです。

また、数年前に土地家屋調査士にも合格しましたが、司法書士事務所を経営しながら土地家屋調査士事務所への就職は難しく、実務については先輩等に「対価」をお支払いして教えていただきました。

 

もう一度言います。「あなたが将来独立開業した後に必要な実務・知識を教えていただいているのです。」勤務先の事務所に対し仕事で貢献しなければならない立場なのです。貢献もせずに迷惑ばかりかけている人は、お金を支払って教えてもらう立場なのです。何度も同じ間違いをしたり、お客様に迷惑を掛けたり、お世話になっている事務所に貢献できていないにもかかわらず批判するというのはどういうことなのでしょう。

 

私のまわりを見渡しても独立開業をして成功している人たちは、すべて修行先の先生との関係が良好です。

批判をする前に、自分自身が「感謝の気持ちを持てているのか」「事務所に貢献できているのか」を見つめなおしてみましょう。

 

司法書士事務所に就職するということは、実務講座を受講することではありません。

司法書士事務所は、合格者にお金を支払って実務を教える社会奉仕の事業でもありません。

「感謝の気持ち」があれば勤務先のあなたへの対応もおのずと変わってくるでしょう。