2015年02月20日(金) 晴れ
トーハクの浮世絵コーナーは歌川国芳の特集でした。
国芳って、デッサン力が半端ない。
洒落や諧謔味もあって、すっかり虜になりました。
「荷宝蔵壁のむだ書(にたからくらかべ の むだがき)」 (黄腰壁)
歌川国芳(1797~1861)筆 大判 錦絵
題名の「荷宝蔵」は、「似たから」との語呂合わせ。
水野忠邦による天保改革で質素倹約、風紀粛清の号令の元、豪華な錦絵制作や役者似顔絵が禁止された頃に制作された。
役者絵ではなく、蔵の漆喰壁の落書きであるとして禁制から逃れる方便になっている。
役者名や紋は無く、役者の特徴が誇張して描かれている。
「荷宝蔵壁のむだ書(にたからくらかべ の むだがき)」 (黒腰壁)
落書き風に書いても、上手さは隠せない、というか、却って上手さが際立っている。
「荷宝蔵壁のむだ書(にたからくらかべ の むだがき)」 (黒腰壁)
「名酒揃・剣菱(めいしゅぞろい・けんびし)」 団扇絵判 錦絵
永正2年(1505)創業の灘の日本酒醸造メーカー「剣菱」の引札(=広告チラシ)。
うだるような夏の暑さを感じさせる、こちらの美女のほつれ髪、はだけた浴衣、首にまいた手ぬぐい、手に持った西瓜。
あだっぽくて良いわ~。
「金魚づくし・玉や玉や」 中判 錦絵
夏の風俗を金魚に擬人化して描いたシリーズで、現在9図が確認されている。
この図は、「玉や玉や」の売り声で知られた江戸のシャボン玉売り。
国芳の「金魚づくし」シリーズはずっと見たいと思ってました。
なんて楽しい絵!
親亀が子亀を背負っている図が、立っているのがすごく新鮮!で笑っちゃう
「金魚づくし・百ものがたり」 中判 錦絵
猫の襲撃に水草を構えて立ち向かおうとする金魚、逃げて隠れようとする金魚。
国芳は無類の猫好きだったそう。
無類の柴犬好きなら良かったのに・・・と柴犬好きの私は思う(笑)
「金魚づくし・さらいとんび」 中判 錦絵
かっさわれたのは何だろ? ”みぢんさい”って何?
金魚の唖然とした表情や、地団太踏んでいる様子が滑稽で笑える。
杖をついているのは、おじいさん金魚(笑)?
「東都御厩河岸之図(とうと おうまやがし の ず)」 横大判 錦絵
山口屋から出版された「東都○○之図」と題された洋風表現を取り入れた名所絵。
この絵を見て、「あぁ、そうよね。 空があって、雲がある風景に雨って落ちるものよね。」と今更ながらの感慨が浮かんだ。
灰色と藍色の濃淡と肌色だけで表現している色合いが好き。
画面右側の男は傘を三本抱えているけど、傘売りなのか、お迎えなのか、どっちだろ。
江戸の男は、尻丸出しで歩くのは日常だったの?
「高祖御一代略圖・佐州流刑角田波題目」 横大判 錦絵
Illustrated Life of Priest Nichiren: Nichiren Calms a Storm with a Buddhist Scripture.
いや~、学がないもんで題名を見ても意味が分からなかったのですが、英語の説明を見ると日蓮聖人が「南無妙法蓮華経」の題目を書いて波を沈めた場面のようですね。
(波に「南無妙法蓮華経」と書かれている。)
日蓮聖人の落ち着き払った表情に対して、同舟者(佐渡へ流される囚人とお役人か?)の表情がアホっぽい。