「進達」 or 「申達」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

週1回更新なのに更新が飛んでしまいました。申し訳ありません。

これからはしばらく飛ばないようにしたいですが、まだ繁忙期が終わっていないため、無理だったらすみません。

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50年近く日本語の中で過ごしてきて、そのうち10年以上は正しい日本語を記述する仕事をしていても、いまだに知らない言葉がたくさんあります。

今日のお題も最近知った言葉というか、片方は認識していたんですけど同じ音で意味の似た違う言葉があったことを知って驚愕したものであります。

 

読みは両方「シンタツ」で、私はこのうち「進達」のほうだけ認識していたんですけど、入力して変換キーを押すと変換候補で「申達」というのもあったので、そこで初めて「こんな言葉もあったのか」ということに気づきました。

そこで、いつもどおりデジタル大辞泉を見てみますと、別々の項目となっており、「申達」は「通知すること。特に、上級官庁から下級官庁に文書で命令を下すこと」で、「進達」は「上申書など、下からの書類を取り次いで上級官庁に届けること」「進歩・向上させること。また、進歩・向上すること」という、それぞれ違う意味を持つ言葉であることが分かりました。さらに用字用例辞典を見ると、そのとおりの使い分けが必要な言葉でありました。

つまり、「通知すること。特に、上級官庁から下級官庁に文書で命令を下すこと」「上申書など、下からの書類を取り次いで上級官庁に届けること」がそもそも日本語として別の表記が必要な言葉なのです。

 

これはどういうことかといいますと、デジタル大辞泉には上級官庁と下級官庁の違いについて国税局と税務署を例に挙げて解説されていますのでそれを用いて非常にざっくりと話をしますと、国税庁から税務署に書類を送ったときは「申達」で、税務署から国税庁に書類を送ったときは「進達」なんですね。

全く覚えられる気がしません……。

 

それはともかくとして、この「進達」と「申達」のように変換候補が複数あるのを見て違いが発覚というのは、ほかの言葉でも私は非常によくあります。こういう表記だろうと思い込んでいて誤変換をスルーしてしまうことが、このちょっとしたことで回避することができるわけであります。

まあもちろん初めて出た言葉は用字用例辞典で確認するのが大事なんですけど、繁忙期なんかは特に気がせいていてそういうことが頭からすっぽり抜け落ちてしまうこともあります。なので、あまり使わない言葉は変換するときに他の候補をちらっと見てみるという癖をつけておくことが、間違いを減らす一助になるのではないかと個人的には考えております。

 

それでもまだまだ間違いはたくさんあるんですけどね。日本語を正しく表記するのは本当に難しいです。