昨日、「全ての変更がこうであったらよかったのに」みたいな愚痴を書きましたが、そんなに単純ではないのが今回の改訂であり、昨日の「障る」と「触る」も、実は簡単ではない部分があるというのが今日の記事です。
昨日の動詞の場合は、「触る」と「障る」の書き分けになりましたが、今日はその活用形ではなく形容詞の場合です。形容詞のときは、日本語として「触り」と表記できるものが、用字用例辞典では平仮名表記となるのです……!!
と、用字用例辞典を見たら項目が「さわり」「障り」しかないので思うかもしれませんが、実は違います。「触」で表記できる形容詞でも、「手触り」「肌触り」等は別に項目があり、明確に漢字表記である旨記載されています。
では何が平仮名表記なのかというと、用字用例辞典にさらっと意味が書かれてありますが、「聞かせどころ」、つまり、辞書の意味を引用すると、「広く芸能で、中心となる見どころ・聞きどころ。また、話や文章などで最も感動的、印象的な部分」(デジタル大辞泉より)の場合です。辞書には、「小説の触りを読んで聞かせる」という例が示されています。
さて、上記で引用した辞書の意味で、「おや?」と思われた方もおられるかもしれません。私もその一人ですが、これに関して、辞書に面白いことが書いてありました。
文化庁が行った世論調査によれば、この「さわり」について、本来の意味ではない「話などの最初の部分のこと」と認識している人が過半数を超えている、しかしそのパーセンテージはここ数回の調査ごとに微減し、本来の意味とされる「話などの要点のこと」と認識している人が微増しているという結果が出ているのです。
違う意味になりかけていたのが、少しずつ本来の意味に戻りつつあるということで、言葉というのは生き物なのだなと実感しました。本当に面白いです。
もし興味がおありの方は、該当ページの直リンクを張りますので御覧になってみてください。見えなかったらこちらから「さわり」で検索してみてください。意味の下の「補説」というところに記載があります。