数字について | ある在宅ワーカーのつぶやき

ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

※いつもは数字を全角で書いているんですが、きょうは桁数が多いので、2桁以上半角表記にしています。

 

以前何かの記事で、テープ起こしの作業はただ聞こえた言葉を文字にするのではなく、事実や資料とは異なることをチェックして間違った部分は何らかの印をつけてわかるようにすることも重要である旨、書いたように思います。

たしかそのときは名称なんかの話だったと思いますけど、それは数字についても同じです。今現在ようやく終わりが見えてきた年度末の繁忙期においては、議会で予算の審議が行われますから、その全ての数字のチェックが必要になります。先方から送られてきた資料がある場合はもちろん、資料が送られてこない場合でも、ホームページに予算書が公開されていれば、それとの照合を行わなければいけません。

 

それで難しいのが、まず、予算書の数字は「1,000,000」と数字だけ書かれているんですが、カンマの位置は日本の数字の数え方とはちょっと異なる位置についていることです。上記のカンマの位置は欧米の数え方に沿っていて、つまり英語だとthousand、million、billionなどのところに入って3桁ずつ区切られているんですが、日本は4桁ごとの区切りです。上記の「1,000,000」も、幾らの数字かと言われたら一瞬悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。

さらに面倒なことに、その予算書というのは、大体1,000円単位で書かれています。つまり、「1」だと1,000円で、上記の「1,000,000」だと10億円なわけです。

そういう大きい桁数の数字に触れることが多くてなれていればいいんでしょうけど、10万円でも大金な私にとっては、「1,000,000」などの桁になると、一々桁数を確認しないとぱっと見では全くわかりません。million、billionで覚えればよいのでしょうけど、この年齢になるともう新しいことがなかなか覚えられないわけです。

 

そして、それは私たちのような聞く側ほどはひどくはないのですが、話す側もやはりそうであるようで、予算の数字は原稿を読み上げている場合でも結構間違っていることが多いです。上記のようなゼロばかりのきれいな数字ならまだ間違いは少ないでしょうけど、実際には「26,856,009」のような細かい数字でありますから、例えば桁を間違ったあげくゼロを1個飛ばしてしまい「26億8,560万9,000円」と言ってしまったり、「286億5,600万9,000円」と間の数字を入れかえて言ってしまったりすることが結構起こるわけです。

 

それだけならまだしも、議会ですと質問する側と答える側とのやりとりになるわけで、その答えた数字を質問する側が発言の中で引用したりすることもよくあります。そうなると、メモをとらずうろ覚え、メモをとり間違えた、メモは正しくてもそのメモを間違って読んだなどで、さらに数字の間違いは多くなります。この場合の間違いは非常に多いです。

テープ起こしの作業では、そういうのもチェックが必要になります。例えば「先ほど答弁の中で総額286億とおっしゃいましたが」などという発言があった場合は、資料があれば資料、資料がなければ引用元の発言を確認して大きな間違いはないかをチェックする必要があります。もとが「268億5,600万9,000円」であった場合は「286億」では明らかに間違いですから、下線を引くなりしてこの発言は間違っていたということがわかるようにして納品しなければならないのです。(「268億」あるいは「269億」なら、切り捨てあるいは四捨五入ということでオーケーかと思います。もしくは「約270億」なんかもよいかと)

 

このように、数字がたくさん出てくると本当に本当にチェックが大変になります。特に年度末は1年のうちで最も忙しい時期になりますが、忙しいからといって細かいチェックを欠かすことはできません。お客様にはこちらが忙しいのは関係ないですから、いつもどおり丁寧に仕事をすることが対価をもらっている者の務めであります。(ただしたまに発狂しそうになりますが)