「ふく」という動詞の表記いろいろ | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

「ふく」を辞書で調べると、たくさん項目が出てきますが、実際現代の会話で用いるのは、用字用例辞典に載っている四つなのではないかと思います。

そのうち、表題のように平仮名表記するのは最も使用頻度が低いと思われるもので、

 

例)屋根瓦をふきかえた。

 

など「板・茅 ・瓦などで屋根をおおう」(デジタル大辞泉より)の意味の「ふく」です。

それ以外の「吹く」「噴く」「拭く」は全て漢字表記です。

 

それで、これらはよく使う言葉でもありますし、解説は特に必要ないでしょうと言いたいところですが、一つだけちょっと気をつけておいたほうがいいのではないかと思うところがあります。

それは「吹く」と「噴く」の使い分け、とりわけ「吹き出す」「噴き出す」の使い分けです。

 

「吹く」と「噴く」は辞書で調べますと一つの項目として書かれており、その中で「吹く」と書くものが細かく指定されています。きのうの(「●●」とも書く)とは異なり、(吹く)という記載があります。

 

そこに記載されている意味を整理しますと、

 

《(吹く)とあるもの》

・空気が流れ動く。風が起こる。風が通ってゆく

・口をすぼめて、強く息を出す。また、そのようにして物に当てる

・出す息で音をたてる

・出まかせや大げさなことを言う

・鉱石を溶かして金属を分離させる。精錬する

・鋳造する

 

《(吹く)ではない=「噴く」のもの》

・内部から水や蒸気などが勢いよくとび出す。ふき出す

・今まで見えなかったものが外や表面に現れ出る

・相場が上がる

・細い口から勢いよく出す。ほとばしり出す

・息と一緒に口から出す

(※意味は全てデジタル大辞泉より・一部省略)

 

ところが、用字用例辞典を見ますと、どうも辞書とはちょっと違うようであります。意味ははっきり書いていないので、例示のものとデジタル大辞泉の意味とを照合させてみます。
(※特に米印で意味が記載してあるのが、デジタル大辞泉と用字用例辞典で異なるもの)
 
《「吹く」で例示されているもの》
・笛を吹く
・芽を吹く *デジタル大辞泉「今まで見えなかったものが外や表面に現れ出る」の意味
・ほらを吹く
・風が吹く
・緑青が吹く *デジタル大辞泉「今まで見えなかったものが外や表面に現れ出る」の意味
 
《「噴く」で例示されているもの》
・潮を噴く
・火を噴く
 
「芽を吹く」はいいとして、「緑青が吹く」(※緑青は銅のさび)はちょっと間違えそうな気がします。
ここまでで思ったよりも長くなってしまったので、初めに「とりわけ」と書いた「噴き出す」「吹き出す」はまたあしたにします。