たしか最初のころに、テープ起こしとは聞こえる音を単純に文字にするわけではない旨をこのブログで触れたと思います。
確かに、日本語における人の話し言葉は、原稿を読み上げているときは別として、意味のない言葉がたくさん入っていて、大概そのまま文字にすると大変読みづらいものとなります。
例えば、実際の発言はこのような形になります。
例)えー、このことに関しましてはですね、実情をよく勘案いたしまして、対策のほうを検討してまいりたいというふうに考えております。
これから意味のない言葉を全て削除すると、
例)このことに関しましては、実情をよく勘案いたしまして、対策を検討してまいりたいと考えております。
となります。このように文章を整えることを整文といいます。
私のしている仕事で一番多いのは上記のようなものですが、お客様によっては、以下のようないろいろな段階の整文を行うことになります。
例)えー、このことに関しましてはですね、実情をよく勘案いたしまして、対策のほうを検討してまいりたいというふうに考えております。
↓「えー」や「あー」、「そのー」などは取る
例)このことに関しましてはですね、実情をよく勘案いたしまして、対策のほうを検討してまいりたいというふうに考えております。
↓加えて「ですね、」を取る
例)このことに関しましては、実情をよく勘案いたしまして、対策のほうを検討してまいりたいというふうに考えております。
↓さらに「というふうに」を取る
例)このことに関しましては、実情をよく勘案いたしまして、対策のほうを検討してまいりたいと考えております。
↓その上で「のほう」を取る
例)このことに関しましては、実情をよく勘案いたしまして、対策を検討してまいりたいと考えております。
プラスして、口語を全部文語に直したり、言葉を整理した上で「である・だ調」にしたりすることもありますけれども、まあそれはここでは置いておいて、このようにお客様の要望に添う形で話し言葉をうまく記載することが必要です。
ところで、この記事の冒頭で私は、自分の受けている仕事は、全てそぎ落とした上記例の一番下の形であることが最も多いと書きました。
よって、それになれているので、それ以外の場合、特に「というふうに」や「ですね、」をつい省略してしまう癖があります。
それで、それは見直しのときに気をつけて見て修正するのですが、上記の言葉は発言者によっては頻繁に使われるので、見つけるたびに「というふうに」や「ですね、」を手で入力していては、時間がかかって仕方ありません。
そこで私は、マクロを使ってキー操作一発で「というふうに」や「ですね、」が入力できるようにしています。
マクロとは、ワードやエクセルの中で行った操作を記録させて、後から同じ動作を行うようにできるものです。それを任意のショートカットキーに登録して、キー操作一発で同じ動作を再現するようにもできます。
具体的には、例えば「いうふうに」をキー操作で入力できるようにするためには、
1)まずリボンに開発タブを表示させ、(これは最初の1回のみでオーケーです)
2)ワードの画面左下に出てくる「マクロの記録」ボタンを押下
3)出たメッセージボックスの「マクロ名」の欄に自分でわかりやすい名前を入力してそのボックスを閉じる
4)「いうふうに」とキーボード入力
※このとき、ただ「いうふうに」と入力するのみで、カーソルを移動したり等のほかの操作をしないことがポイント
5)ワードの画面左下の「マクロの停止」ボタンを押下
6)ファイルタブの「オプション」を押下
7)「リボンのユーザー設定」の画面で、左下にある「ショートカットキー ユーザー設定」のボタンを押下
8)「分類」の下のほうにある「マクロ」を選択し、その右側の「マクロ」に表示された中から、3)で自分がつけた名前を選ぶ
9)その下の「割り当てるキーを押してください」の欄にカーソルを移す
10)割り当てたいキーを押下する
11)「割り当てるキーを押してください」の欄に、10)で押したキーの組み合わせが表示されたことを確認して、左下の「割り当て」ボタンを押下
(※ワード365の場合です)
これで完了です。これで、ワード画面にて10)で選んだキーを押したときは、「というふうに」が入力されることとなります。
もし修正したいときは、11)の画面で「現在のキー」の中から削除したいキーを選択して、左下の削除を押した後に9)からやり直したらオーケーです。
ここで4)のところで「ですね、」等ほかの操作をすれば、同様にキー押下のみでそのほかの操作を行うことができるようになります。
割り付けるキーを選ぶポイントとして、まず、ワードでは既定の設定で、ctrlキーとアルファベットキーの組み合わせはよく用いられております。なので、ctrlキーとアルファベットの組み合わせでは、うっかり隣のキーを押下してしまうと、自分の意図していないほかの動作が行われることがあります。これを避けるためには、ワードでほかに使われていないであろうキー、例えばshift+ctrl+アルファベットキーの組み合わせ等を用いるとよいかと思います。
また、修正のときはマウス操作で目的の部分にカーソルを移してから入力することがほとんどとなりますので、右手でマウス操作をしながら、左手のみでできるようなキー割り当てにすると、より操作が早くなると思います。
ご参考になれば幸いです。