私がやっている仕事の中には、大学の先生等の研究者が専門的なことについて意見を交わすような会議が多くあります。
そういう仕事は、話している内容が難しい上に、英単語を織りまぜて会話をされていることが多くて、非常に苦労します。
しかも物理系の話のときはそれだけではなくて、ギリシャ文字が高頻度で出てきます。何かの値を求めるための計算式の中にはよくギリシャ文字が含まれているため、それが話題に上るためです。
ギリシャ文字でも、α(アルファ)、β(ベータ)あたりならば普通によく耳にするので、会話の中で出てきても困ることはないかと思いますが、出てくるのはそれだけではなくて本当にいろいろです。
γ(ガンマ)、Δ・δ(デルタ)、θ(シータ)、π(パイ)、Σ・σ(シグマ)、Φ・φ(ファイ)なんかは、α、βよりも出現頻度は高いですし、λ(ラムダ)、τ(タウ)、μ(ミュー)、χ(カイ)、ρ(ロー)、ν(ニュー)、ψ(プサイ)など余り耳なれぬものもたまに出てきます。(※「・」で続けているものは、大文字・小文字の組み合わせ)
それで、このブログでも以前何回か書いたと思うのですが、人間の耳は、耳なれぬ言葉は勝手にほかの知っている言葉に変換してしまう性質があります。例えば何の前知識なしに「ローが問題だ」などと言われても、普通はろうそくのろうや車の低速用のギアが頭に浮かぶのではないかと思います。また、例で挙げたようなアクセントが違うだけの似た言葉に変換するならまだヤフーの検索などで「●●ではないですか?」などと教えてくれて正解にたどり着けるかもしれないのですが、音が少し悪くて聞こえづらい場合などは全く関係ない言葉に脳が変換してしまって、正解にたどり着く余地もなくなってしまいます。
また、上記の例のとおり、ギリシャ文字は大文字と小文字で全然形が違うものがあったり、アルファベットと見間違えそうなものもたくさんあります。資料がついていたとしても、「χ」なんかは、大文字の「Χ」の場合には「X」と区別がまずつきませんし、「τ」の大文字の「Τ」や「ν」の大文字「Ν」なんかは、完全に見た目がアルファベットの「T」と「N」と同じです。このようなものは、ギリシャ文字だと知っていなければ、たとえ資料に載っていても発言と関連づけることができません。
というわけで、技術系の話、とりわけ物理系の話を文字に起こすときには、ギリシャ文字を知っておくとよりスムーズに正確な表記をすることができます。
技術系の話の依頼を受けたときは、最低限「この話はギリシャ文字が出てくるかもしれない」とどこか頭の片隅に置いておくべきですし、先に述べたギリシャ文字の例のうちα、βよりも出現頻度が高いと述べたものは知っておくとなおよいかと思います。