大分前にこのブログでもちらっと触れたような気もしますが、日本語では非常に曖昧な言い方が可能で、それがまかり通っています。
例えば、家族に
・キャベツとミカンを5個買ってきてほしい。
と言われたとき、通常の家庭ではキャベツを5個買うことはまずないでしょうから、大抵の方はキャベツ1個とミカンを5個買って帰るでしょう。
しかし、キャベツを大量に消費するお店などの場合は、あるいは、上記の部分がキャベツではなかった場合、例えば、
・リンゴとミカンを5個買ってきてほしい。
だった場合は、ミカンではないものは1個買うのか5個買うのかというのが少しわかりづらくなります。
論文などのような万人が誤解してはならない文章であれば、そこは「リンゴ1個とミカンを5個」というようにリンゴも個数を明記しておくことが必要ですが、テープ起こしの場合は言葉を追加してまで個数を明確にすることは基本的にしませんから、読点で何とかすることになります。
つまり、リンゴが1個のときは、
・リンゴと、ミカンを5個買ってきてほしい。
ですし、リンゴも5個のときは、
・リンゴとミカンを、5個買ってきてほしい。
で何とか違いを表現するようにします。
基本的に句読点は発言どおりの位置に付すものなんですが、このようにその位置のまま書くと意味がわからなくなる、あるいは意味が変わってしまうようなときは、本来の意味になるような位置につけかえをします。
ただ、例外として、会話を聞いてもリンゴが1個なのか5個なのかはっきりしないときがあります。
そのときは、
・リンゴとミカンを5個買ってきてほしい。
という、どちらにもとれるような状態のままにします。無理やり読点をつけて意味が違っては大問題ですから、そのままにしておいて、あとは依頼主のほうで何とかしてくれというスタイルです。ぶっちゃけ逃げ道ですが、意味が違うよりも曖昧なままのほうがましということで、このようにします。
いやあ、日本語って本当に難しいですね。