いろいろな仕事をやっていると、中には方言で話される方が含まれています。
それが関西弁のような、何となくテレビなんかで聞き覚えがあり大体わかるものならいいのですけれども、テレビではルビのつくような地方の方言であることもあります。私はこれまで、北は秋田から南は鹿児島までの会議を文字にしたことがありますけれども、特に北の端と南の端、西の端は大変でした。
それはなぜかというと、まず、トリックアートなどからわかるように、人間の脳は外部から得た情報を自分のなれた情報に変換してしまいがちです。ですから、聞きなれない方言は全く耳に残りません。知らない外国語を聞いてすぐ片仮名表記できないことと同じで、音だけすら聞き取ることもなかなかできません。耳から入って通り過ぎて流れていくだけです。下手したら1回目は語尾しか聞き取れないということも起こりますので、ほかの仕事より多くの回数聞き直しをすることとなります。
また、お客様によっては方言をそのまま記載するわけではなく、標準語に直してという指定をされるので、その方言の意味するところを調べて誰もがわかる言葉にして記載するという作業が必要になることもあります。これは本当に時間がかかります。
ただ、今は便利なことにインターネットにたくさん情報がありまして、個人の方がつくっておられるローカル方言辞書なんかも検索したら山ほどヒットしますし、方言をそのままブログ等の文章にして公開している方もおられますから、何とか聞き取れた音で検索することは可能です。
そういう中で、一番大変なのは地元でずっと過ごされてきた高齢者の方の場合(※方言がきついため)なんですけれども、それほど方言がきつくなく苦労なく聞き取れるような場合でも、気をつけなければならないことがあります。それは、アクセントが通常と異なるということです。アクセントが異なることで普通とは違う言葉に聞こえるものが存在します。
例えば、先日した仕事の中で、「資料の「イチ」のところをごらんください」という意味の発言がありました。
この流れですと「イチ」は通常は「1」だと思うでしょうし、発言のアクセントも完全に「1」だったんですが、資料を見ると、「1」と書いてあるところはあるものの、その説明された部分にあったのは「位置」という言葉でした。
後から考えると、確かに発言者の方は、単語自体は標準語なんですが、全体的にアクセントが標準語とはちょっと違う感じでありました。資料を見なければ完全に「1」と誤った表記をしていたと思います。
そういうことで、このブログでは何度も繰り返し意味を考えて記載するのが重要という旨を書いておりますけれども、意味が通っても資料とは違っている、つまりは議事録として間違っているということが起こり得ます。
資料がついていなければ仕方ないですけれども、資料がある場合は、資料に目を通すことで表記の間違いは確実に減らすことができます。わからないところだけ見るのでは、多くの間違いがそのままになってしまうおそれがあります。自分では意味のわかる議事録となったと思っても、最低限明らかに会話で用いられたとわかる部分は確認して、よりミスを減らすことが必要であります。これは方言のあるなしにかかわらずです。
方言の記事のつもりでしたが、最後は話がそれてしまいました。まあとにかく、正確な表記のためには、
(1)用字用例辞典で表記を丁寧に確認する
(2)意味をきちんと考えながら聞き直す
(3)固有名詞等はネット等でしっかり調べる
(4)資料があるなら資料をちゃんと確認する
ことが大変重要となります。
人間ですから間違いはどうしてもありますけれども、それをできるだけ減らすことが、自身の評価を上げて仕事をふやし、単価を上げることにつながります。個人的には、上記のことのうち資料を確認することは、表記の間違いを減らすためには単純なわりに効果が非常に高いと考えます。資料を余り見ないという方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ぜひ一度資料をごらんになって作業をしてみてください。
(ただし、資料にも間違いはありますので、おかしいと思ったらネット等で調べることも大事です)