私は個人的にはこれはのぎへんがついた、某横綱のお名前と同じ「稀」を書きたくなってしまうんですけれども、用字用例辞典では「希」と記載するルールになっております。
この「希」と「稀」はほぼ同じ意味を持っているんですが、全く同じ意味というわけではありません。具体的にいいますと「稀」の意味は「めったにない」「濃度が薄い。まばら」だけなんですが、「希」にはそれに加えて「願う」「ギリシャ」の意味があります。
というわけで熟語でも、「希釈」や「希少」なんかは辞書には「稀」でも表記できるように書かれていますが、例えば「希望」なんかは「稀」で表記することはできません。「願う」という意味がないですからね。
このように、「希」と「稀」については、ほぼ同じ意味を持つ漢字のようでありながらも、その言葉の持つ意味によって微妙に表記できる漢字は変わってきます。
しかし、私の確認した限りでは、辞書に「稀」で表記することができると書かれている言葉でも、きょうの表題の「希有」のほかに「希少」「希代」など、用字用例辞典ではおおむね「希」で表記するルールになっているようです。
また、訓読みの場合の「まれ」は平仮名表記になっておりますから、基本的に固有名詞を除いては「稀」の字は用いないと思っておられたらよいのではないでしょうか。