「変異」 or 「変移」 or 「変位」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

先日に引き続き、本日も「えっ、それは意味が違うのか」シリーズです。

 

「ヘンイ」というと、この三つの中では、通常「変異」を耳にすることが圧倒的に多いのではないかと思います。それでついつい「変異」と書いてしまいたくなるのですが、ちゃんと使い分けなければいけません。

 

辞書を見ますと、「変異」は、まあ解説は要らないかもしれませんが念のため記載すると、「平常と変わったことが起こること。異変」「同種の生物個体間に形態的、生理的な差異が現れること。環境の影響による遺伝しない個体変異と、遺伝する突然変異とに分けられる」で、「変移」は「移り変わること。変遷」、「変位」は「物体の位置が変化すること。また、その変化した位置。物理学では、位置の変化を表すベクトルをいう」です。(全てデジタル大辞泉より)

これを見ると、それぞれの言葉は二つ目の漢字の「異」「移」「位」に応じた意味を持っていることがわかります。

 

実は、この三つの中で私が最も仕事の中で用いているのは、「変位」です。

上記の辞書の意味の中に「物理学では」とあるように、土木技術的な話のときは非常にこの言葉が出てくる頻度が高いです。

私は最初「変位」という言葉を知らなくて、「変異」と書いてしまっていたのですが、どうも意味がおかしい気がして用字用例辞典で調べてみたことにより、この言葉の存在を知りました。

ただ、環境保全や生物が絡む話では「変異」もあわせて出てくるので、全てが「変位」というわけではありません。きちんと意味を考えながら変換することが大事です。

 

なお、私はこれまで「変移」は用いたことがありません。国会議事録で過去5年の検索をしてもヒットが3件なので、余り使われない言葉なのでしょう。

用字用例辞典には用例がないので、ヒットした発言のうちの一つを例として引用しておきますので、御参考にしてください。

 

例)そこで、広畑部長、二問まとめて教えてください。法定雇用率の算出根拠、そして未達成の企業の割合というものの変移についてでございます。(平成28年5月24日、参議院厚生労働委員会の薬師寺みちよ委員の発言より引用)

 

※国会議事録は本来縦書きなので、数字は漢字表記になっております。