「暖か」 or 「温か」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

きょうは、この季節に会話でもよく出てくるであろう言葉をテーマにいたします。

例えば、「風邪をひきかけているので、きょうはアタタカイものを食べて、アタタカイ毛布を出して寝よう」という発言があった場合、どちらの表記を使うのかという問題です。

 

用字用例辞典では、項目が別になっており、それぞれ例が幾つか示されております。

 

「暖か」 暖かな毛布、暖かい気候、暖かい空気、暖かい地方、暖かい日

「温か」 温かな家庭、温かい料理、温かい歓迎、温かい気持ち、温かい配慮

 

これだけではちょっとわかりづらいですので、辞書を引いてみましょう。

 

この「暖か」と「温か」は、用字用例辞典上の使い分けというわけではなく、そもそも日本語として意味が少し異なるもので、辞書(デジタル大辞泉)では一つの項目で書かれておりますが、その中で細かくどの意味がどちらの表記を使うのかが細かく示されております。

以下、古い言い回しは略しての引用です。

 

1 (暖か)暑すぎもせず、寒くもなく、ほどよい気温であるさま。あったか。
2 (温か)物が冷たくなく、熱すぎもせず、程よい温度であるさま。
3 (温か)思いやりのあるさま。
4 (暖か)金銭が十分にあるさま。
5 (暖か)色合いが、赤・黄系統で柔らかい感じのするさま。

 

用字用例辞典の用例と完全に一致しておりますね。

というわけで、最初に挙げた発言例の表記は、「風邪をひきかけているので、きょうは温かいものを食べて、暖かい毛布を出して寝よう」であります。

 

さらに、上記の辞書の意味からすると、用字用例辞典の例に加え「懐が暖か」「暖かみのある色の部屋」のような使い方をされることがわかります。また、上記の辞書にない意味での使い方として、用字用例辞典の「温まる」「暖まる」の項を見ますと、「消費が温まる」「旧交を温める」「公金を温める」「席の暖まるいとまもない」などがあります。

 

私は、物は「温か」、気温は「暖か」についての使い分けは大丈夫なのですが、それ以外、特にすぐ上の段落で書いた「懐が暖か」以下の部分をいま一つ覚え切れていません。とりあえず「アタタカ」が出てきたら用字用例辞典を引くようにしております。