「つく」というと、皆さんはどういう表記がまず頭に浮かぶでしょうか。
私は、この仕事を始めるまでは「付」でした。
しかしながら、用字用例辞典では、「付く」という表記は基本的に使いません。
また、その次に「着」という表記が頭に浮かびます。
しかしながら用字用例辞典では、「着く」という表記は「到着」「着席」の意味の場合に限定的に用いるだけで、通常平仮名書きです。
さらにいうと、「就」という表記が頭に浮かばれる方もいらっしゃるでしょう。
しかしながら用字用例辞典では、平仮名表記です。
このほかにも、「うそをつく」「息をつく」「膝をつく」「判こをつく」「鐘をつく」「米をつく」「つえをつく」など、多くの「つく」という動詞は平仮名表記です。
しかしながら幾つかは「つく」という動詞で漢字表記のものがあります。
上に挙げた「着」の限定使用のほか、一つは「突く」です。
解説は不要でしょうが、「棒で突く」などと使うものです。
また、用字用例辞典ではもう一つ「漬く」です。
私はこんな言い方をするなんて知らなかったのですが、辞書で調べると「漬物に味がしみて、食べごろになる。漬かる」(デジタル大辞泉)という意味だそうで、仕事でも日常会話でもそう使うことはないと思われます。
というわけで、おおむね「つく」は平仮名表記であるんですが、私は最初それで覚えて失敗をしました。
まず一つは、「着く」の存在を認識していなかったことです。
例)工場を誘致するには、大きな船が着く港が必要だ。
旅行中の友人から、外国のきれいなポストカードが着いた。
最終的にはそこに行き着いた。
それでは皆さん席にお着きください。
これらは意外と出てきますが、この仕事を始めてしばらくの間、私は平仮名表記をするというミスをしておりました。そのほかの「つく」(主に漢字だと「付」と書けるもの)の出現頻度が多過ぎて、「つく」イコール平仮名表記みたいな間違った覚え方をしてしまっていたんですね。
例外表記はないかどうか、その言葉の持ついろいろな意味全てで同じ表記であるかどうか、同音異義語はどうであるかなどを確認せず、ただ単に用字用例辞典のその項目の冒頭の表記だけさっと見ただけではこのようなことが起こります。ちょっと時間がかかろうと、用字用例辞典をしっかり見て表記を確認することは、クオリティーの高いものを納品するためには非常に重要です。
さて、「つく」に関する間違いはまだありますが、長くなりましたが次の記事に回します。