これは、簡単なようでいて実は難しい使い分けだろうと、個人的に思っているものです。
用字用例辞典の用例ではちょっとわかりづらいところもありますので、これと辞書の意味をあわせて使い分けのルールを類推しなければなりません。
さて、辞書を引きますと、デジタル大辞泉では、「使い」と「遣い」は一つの項目として書かれています。(以下の引用は全てデジタル大辞泉より)
引用しますと、
1 (使い)
①「人の用事を足すために、目的の場所へ行くこと。また、その人」
②「身分の高い人などが、用事を持たせて差し向ける人。使者」
2 「神仏の使者となる動物。遣わしめ」
3 (多く他の語と複合して用いる)
①「使うこと。また、使い方」
②「普通の人では容易には扱えないものなどを、意のままに操ること。また、その人」
4 「召し使い。また、そばめ」
のように記載してあります。
さて、これを用字用例辞典に記載してある例に基づき分けますと、上記の1と2と4の意味のときは全て「使い」でよいのではないかと思われます。
ただ、3の①が微妙です。これは辞書に例として「使い心地」「無駄使い」が挙げてあります。
さらに、用字用例辞典では「-遣い」と複合的に用いられた場合は「遣い」のほうであるように記載されていますので、辞書に例として記載のある「無駄使い」は用字用例辞典のルールでは「無駄遣い」で、そうではない「使い心地」のほうは用字用例辞典のルール上でも「使い心地」という表記でオーケーなのではないかと思われます。
この意味の場合の例を用字用例辞典から引用しますと、「人使い」「金遣い」「気遣い」「筆遣い」「仮名遣い」「小遣い銭」があります。個人的にはどれもすごく「使い」と書きたいです。
また、3の②は全て「遣い」でしょうが、これは一般的な表記とかなり異なる部分ではないかと思われます。
この意味の場合の例は、用字用例辞典には「手品遣い」「人形遣い」「魔法遣い」が挙げられております。これも個人的には、、上記①と同様に、どれも「使い」と書きたいです。
ちなみに、用字用例辞典には、「使い」のほうの送り仮名なしの例外として「小使」「召使」「小間使」がありますが、この中の「小使」は用務員の旧称ではないかと思われます。いわゆるポケットマネーの意の「小遣い」とは異なるので、用字用例辞典だけ見て混乱されないよう注意が必要です。