「付託」 or 「負託」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

これは、どちらも「ふたく」と読みますが、双方とも日常会話でまず使うことのない言葉だと思います。

辞書を引いてみますと、「付託」は「
物事の処置などを任せること。特に、議会で、議案の審査を本会議の議決に先立って他の機関に委ねること」であり、「負託」は「責任を持たせて、任せること」とあります。(どちらもデジタル大辞泉より)
「一緒じゃないか」と思われる方もいらっしゃるでしょうから、例を挙げてみましょう。

例)予算は、予算審査特別委員会に付託されて審査が行われます。
  国民の負託に応えることが我々の責務である。

……例を挙げてもいま一つわかりづらいですね。

とりあえず、私が今までした仕事の中では、双方とも議会関係の議事録作成でしか出てきたことはありません。
その中で、「付託」のほうは、上記のデジタル大辞泉からの引用にありますとおり、「議会で、議案の審査を本会議の議決に先立って他の機関に委ねること」以外の意味で使われたことはありませんでした。
そして「負託」のほうは、上記の例に挙げましたような、「一般市民が議員や議会に対して責任を持たせて任せたこと」以外の意味で使われたことはありませんでした。

この二つのパターンだけ覚えておけばおおむね何とかなるかと思われます。
ただ、「付託」のほうは定番のせりふとして議会関係の仕事ではほぼ毎回出てきますが、「負託」のほうはめったに出てきませんので、「負託」にすべきところをうっかり「付託」にしてしまわないように注意が必要です。