「水利」 or 「水理」 | ある在宅ワーカーのつぶやき

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みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

前の記事とは打って変わって、今度は意味が全く違うものの使い分けです。

「水利」は、辞書を引きますと、「水上運送の便利」「田畑のかんがいや、飲用・消火などに水を利用すること」(デジタル大辞泉より)とあり、私の仕事でよく出てくる場合は「水利権」であることが多いです。
また「水理」は、辞書には「地下水の通じる道筋。水脈」「船の通る水路」(デジタル大辞泉より)とありますが、実際聞くのは、「水の流れに関する力学」の意味の場合が多いです。私の仕事でよく出てくるのは、「水理模型実験」です。なお、水理模型実験というのは、川や海なんかの形状を水槽等で模型として再現して、それに水を実際に流して水や砂の動き、護岸の耐久性なんかを見る実験です。

こう書くと意味が全く違うので間違わなそうなんですが、これが川なんかの工事の話なんかになりますと、「水利権の調整の話」と「どういう護岸をつくるか実験をする話」が一緒に出てきたりしますから、両方が入り乱れて会話の中に出てきて使用頻度の高いものが漢字変換の上位に出てきて、うっかり変換ミスをしてしまって非常に厄介です。

例)
 ×先日行った水利模型実験の結果をご説明いたします。
 ○先日行った水理模型実験の結果をご説明いたします。

 ×現在、水理権者との調整に手間取っております。
 ○現在、水利権者との調整に手間取っております。

個人的には、「水理模型実験」のミスをチェックの際によく見つけます。両方出てくる会議の際には、特に注意が必要な言葉です。