最初から某番組用に打った小面です。
そんな事情もあり、彩色の繊細な表情は不十分ですが一旦完成とします。
時間を空けてから見直した方がダメなところを見つけやすいですし。
拙宅では視聴不可能な番組ですが、放送は2月の下旬のようです。公表されたらこちらでもお知らせします。
この小面で特に拘った部分は眉です。
河内打の孫写しになるので、その特徴を取り入れたく工夫してみました。
本面を手に取らせて頂くとはっきり確認できますが、展示されているものを見ても照明の当たり方によってはわかります。
眉の部分は他の肌とは異なる胡粉の肌作りがされているのです。
不規則に凹凸があるのですが彩色層を彫り込み、盛り上げもされているように見えます。しかし本当はよく分かりません。
その上に絶妙な形と濃淡、暈かし具合によって眉が描かれると河内独特の味わい深い眉になります。
それを写したと考えられる近江や洞白などの名人の作にも同様の工夫がみられますが、河内の眉は作為的なところがなく(模様のようになりがち)、景色として自然な美しさがあるように思います。
過去に洞白打の直写をさせて頂いたときに挑戦したことがありましたが、今回も整い過ぎてしまい普段とあまり変わらない雰囲気に仕上がってしまいました。
次作で強めにやってみれば少し変われるかもしれませんが…
尊敬する大先輩も写せないと仰るので、本面が手元にあっても難しいようです。
ちなみに鬘は打ち肌、梨子地です。
普段は普通の胡粉ですが、今回は腐れ胡粉にしてみました。やはり角?の立ち方がぽってりとしました。
以下の番組に出ます。
今週の日曜日、23日の朝6時Eテレで放送です。
有森也実さんは能面や面打に関する質問も鋭く、感性みたいなものが一般の方とは異なるのだなと思いました。
リハーサルの合間にさせて頂いた会話の方が面白かったかもしれません…
選者の大森静佳さんの歌集も読んでみました。
不躾にもサインをお願いし、書いて頂いているところです。
馴染みがないためか、直ぐに入ってくるものではありませんが、よくよく味わえば不思議な感覚というか、楽しみ方が少しわかるようになりました。
ディレクターさんは熱心な方で、昨年はあきる野市での個展にご足労くださり、能楽堂で能もご覧になられているようです。
短歌もわからないし、話も得意ではないので大いに迷いましたが、2度とない貴重な経験になると思い有り難くお受けしました。
ご専門の方々は腹立たしく感じられるかもしれません。
恥はかいただけ成長?(そういう年齢ではありませんが)するとも言いますし…
「ここは大河を撮ってるのでこの廊下は時々俳優さんが通ります」とか「こちらはきょうの料理撮ってます」など少しバックヤード見学ができました。
渋谷の放送センターから自宅までタクシー券で帰宅させて頂くという(17000円余)お殿様的な経験も2度とないかと思います。
素敵な歌が紹介され、面白く学べる内容なので、ご案内しました。