「バーってなんで高いの?」って質問があったので、その辺のお話 | 横浜の相鉄線「天王町」駅より徒歩1分のダイニングバー『tapastyle-dining hanauta 』~タパスタイルダイニング ハナウタ~

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横浜の天王町駅より徒歩1分のカジュアルダイニング&バー

洋風小皿料理やパスタやピザを主体としたお料理と、ビールにワイン、カクテルから本格モルトまで!

お一人様でも、団体様でもご利用出来る、融通の効く使い勝手の良いお店を心がけております。

先日、初めて来てくれた若いお客様がお話してる流れで「バーでカッコよく飲んでみたいんですけど、ちょっと高いイメージがあって・・・何でですか?」って


普段はチェーンの居酒屋さんで飲む事が多いそうで、今回は勇気を持ってウチに来てくれたそうです


そんなにウチは入りにくいか?って感じですがw

とりあえずその心意気には感謝ですね


バーって敷居も値段も高いって言うのは世間的なイメージなのは分かりますが、20年近くこういった現場にいると自分でも良くわかんなくなるんで、基本に立ち返って考えてみる意味も含めて、自分なりに書いてみます


※以下は私が教わったり見てきた経験から見出した「ちゃんとしたバーの理想系」です。個人的な見解であり世の中の正解ではありませんのでご注意下さい


1、そもそも取り扱ってる商品が高価であること



例えば一般的なハイボールで使われる「サントリー角」が一本1000円ちょっとですかね、比べてシングルモルトで人気の「ラフロイグ」は一本5000円以上ですので、仕入れ値(原材料)だけで5倍違います
もちろん一例に過ぎませんが、そこまで仕入れの高くないボトルや一般的なカクテルなんかがそれなりのお値段になる理由は以下に続きます

2、ちゃんとしたバーは氷もお金と手間がかかってます


ちゃんとしたバーは氷も「氷屋さん」から仕入れます

天然氷なんかを使ってるお店はそうそうないでしょうが、それでも専門の氷屋さんが時間をかけて作った不純物のない透明で硬い氷を仕入れるので、価格はまちまちでしょうが、大きめのブロック2キロで1000〜2000円程かかるかと思います

そして、その氷をバーテンダーがアイスピックで割って研いてお客様に提供するわけですね

私も常連さん用に丸氷をたまに作りますが、割と大変で難しい作業ですw

余談ですが、上記の理由から「丸氷で出されたら1つの氷で最低でも2杯は同じ酒を飲む」というのがお客様側の暗黙のマナーってのもあります

ちゃんとした氷をバーテンダーが丁寧に研いたものなのに、1杯だけで終わらせるのは勿体ないし粋じゃないって事でしょうねw

今では丸く整形された氷を仕入れることも出来るようになったんで、これも一昔前の風潮かもしれませんがw

3,グラスやおしぼりにそれなりにお金がかかっている


一般的には「薄くて硬いグラスが理想的」とされてますが、そういったグラスは高価です

他にもクリスタルグラスや装飾の入ったグラスなど、後述しますが、「美味しいお酒を飲む事に特別感や非日常感」と言った演出するためにグラスというのはとても大事な要素になりますので、ちゃんとしたバーはその辺もこだわってる事が多いです

他にもおしぼりを肌触りの良いランクの高い物を使用したり、コースターはそのお店オリジナルの名入れ・1回で使い捨ての物を使っていたり

この辺にもなかなかお金がかかってます

4、バーテンダーの技と接客


バーのお酒は注ぐとか混ぜるではなく「作る」という表現が適切かと思います

そのための専用の道具があって、それぞれに基本的な持ち方・手順・所作があります。

私も師匠からボトルの持ち方・向き、キャップの開け方からメジャーカップを持つ時の指の形と言った基本中の基本から叩き込まれましたが、ジントニックを1杯作るだけでも一連の動作をキレイにこなせる様になるにはかなりの練習が必要ですよ

後はお客様との会話や言葉遣い、これも新人の頃はこっぴどく怒られましたw
文章で書くとキリが無いのでやめときますが、基本的には会話においてはお客様主体、誤解を招くような余計な事は言わない、個人情報的なことを直接質問しないとかですかね

例えば「仕事何してるんですか?」とか「どこに住んでるんですか?」みたいのは絶対に駄目なわけで、会話の中からなるべくお客様から言わせる、聞き上手的な会話が理想的です

なのでちゃんとしたバーテンダーは何気ない会話の中でもとても気を遣って考えながら話しています

5、特別感や非日常感を味わう空間である事

いわゆる「バー」って店内が外から見えないから、中の様子も分からないし入りづらいって事もしばしばですが、極端に言うなれば「バー」は外界と切り離された特別な空間といった演出があります

何でかって言ったら、騒がしい居酒屋さんとか家に帰って缶チューハイ飲むみたいないつもの感じとは違った空気を味わいたいから人は「バー」に行くんでしょ?ってw

温泉旅行で例えるなら、一泊10000円だけど味気ないし他の宿泊客も多くて食事は混んでるブュッフェ形式でお風呂も騒がしい大きなホテルに泊まるか?

それとも

せっかく旅行に行くんなら30000円出して、キレイで趣があって美味しい食事をお部屋でゆっくり食べれて、温泉も1人でゆったり浸かれる小さな温泉旅館に泊まるか?

そんな違いかと思いますよ

だからこそちゃんとしたバーはお客様が美味しいお酒を味わいながら上質な時間を過ごせるように前述の様々な要素でおもてなしをするわけであって、それらを含めてチャージ1000円・お酒も1杯1000円〜というお値段になったりする訳です

こうやって考えてみると、世間一般の「バーって高い」というのはあくまで安直なイメージであって、紐解いて色んな要素をそれぞれと見てみると、ちゃんとやってるバーって実は「ただ意味もなく高いだけ」ではなく「ちゃんと理由があってその値段になっている」ので、別に高い訳では無いという事が少しでもお解りいただけましたら幸いです

ちなみに当店は・・・

ちゃんとやりすぎて値段が上がるより、多少抜ける所は抜かせていただいてリーズナブルにご提供出来た方が良いと思ってますんで、偉そうに色々と書いておいてなんですが

そこまでちゃんとしてません!

【カジュアル】な【ダイニングバー】ですからw