今日読み終わりました「あの日松の廊下で」
忠臣蔵関連の作品ですが、世に仰山ありますいわゆる「忠臣蔵」とは違い、割と新鮮な切り口で書かれた作品かと
背表紙の紹介分は
旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。
赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。
目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。
江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。
カバーイラストと紹介の通り割と「軽妙なタッチ」で書かれてるので、案外読みやすい
物語はタイトルの通り、赤穂浪士の討ち入りの発端となった「松の廊下での事件」
王道の筋書きでは腐りきった元禄の政治機構において、賄賂やらなんやらと陰湿な吉良さんに対して、真面目で若い浅野さんがブチ切れてやっちゃった・・・みたいな感じで表現されているのに対して本作は、吉良さんは完璧主義でちょっと面倒臭いけど話の分かるプロフェッショナル、浅野さんも普段は関西弁丸出しで家臣にも尊敬され、不器用ながらも幕府の仕事のために彼なりに一生懸命と・・・それぞれ「いい奴」で、お互い仕事に対してまじめで頑張ってやってるのに、色々な行き違いや邪魔をしてくるバカ共のせいで、最終的にこうなっちゃった・・・
そんな複雑な背景の中で、二人の間に立ってなにかと気を揉み・奔走する冴えない旗本・梶川与惣兵衛視点で描かれているので、今まで見てきた忠臣蔵関係の話の中では割と斬新
細かい内容はもちろんフィクション要素を多分に含んでいるでしょうが、忠臣蔵エピソード0みたいな感覚で読むと楽しいし、どうしてこの事件が起きてしまったかの個々それぞれの想像がそれなりに深まるかと思います
一番思ったのが、本書に出てくるようなシーンって結構現代の仕事の中でもありがちで
・部下に任せっきりで経費で飲み歩いているのに、いざとなったらなんの役にも立たない社長・上司
・こっちの仕事内容もよく分かってない癖に、クライアントの言いなりになって無理難題を吹っかけてくる元受け先の営業
・ほんとはちゃんと理解してないのに分かった気になって間違った方向で仕事を進める部下
・上司の機嫌を取ったり仕事をしたふりするのは得意なのに、実際の仕事は全くできない同僚
こういった奴らと仕事をすると、気付いたら取り返しのつかない事態になってた!
みたいな事って経験ありませんか?
僕自身そんな経験をかなりさせられましたので、そういった感情移入も出来て
「なかなか面白かった」
です