クライアントさんとのセラピーの経験から、
また、私個人の経験から、悩みを抱える人の
多くは、”ネガティブな感情を受け止めてもらった”
経験に乏しいような気がします。
人間、生きていれば必ずいやなことや困難な
ことは起こります。それでも、それから学んだり、
乗り越える経験を通して強くなっていきます。
ただ、いやなことや困難なことを<u>”見なかったことにする、
感じなかったようにして明るくふるまう”</u>のと、
そういったネガティブな経験に伴ったつらい気持ち、
悲しい気持ち、怒り、無念さをきちんと受け止め、
”今度同じ目に合わないように試行錯誤してみる”の
とは大きく違います。
抑えたり、無視したりした感情は心の中におりの
ように溜まり続け、また同じ感情を思い出させる事件が
起これば、激しいネガティブな感情が爆発します。
反対に、外に向かって爆発するのを怖れるあまり
自分の心が壊れてしまったり、自分の体を直接的に
(自傷など)、又は間接的に(無防備な性行為、
アルコールや薬物依存など)傷つけたりして、
感情が内に向かって爆発する人もいます。
ネガティブな感情はできるだけ味わいたくないもの
ですが、長い目で見れば、それが起こった時に
きちんと受け止めた方が後で苦しむことが少ないのです。
では、ネガティブな感情が起こった時にどうやって受け
止めればいいのでしょう?
たとえば悲しい感情であれば、
「ああ、そうか、今私は悲しいんだね、そうだね、涙が
出てくるくらい悲しいんだね。そうだよね。悲しいよね。
悲しくて当然だよね。
よしよし、泣いてもいいんだよ。十分悲しんでいいんだよ。
十分気の済むまで泣きなさいよ。」
上の文章の中に、”どうして悲しいの?”といった質問や
”泣いちゃダメ!”などの説教、”ここで悲しむのはおかしい
んじゃないの?”あいつのせいだ!”などの批判が一つも
ないのに気づきましたか?
それが感情を受け止める、ということなんです。
感情にいいも悪いもありませんし、感受性は人によって
千差万別なので、人と度合いを比べる必要もありません。
原因が何であれ、その感情を持っているのはあなた
自身なのです。
できれば、自分自身だけではなく、自分の周りの人にも
受け止めて欲しいものですが、もし、自分の周りにネガティブ
な感情を体験している人がいれば、優しく声をかけてあげて
ください。
「そうだね。(ネガティブな感情)なんだね。あなたはそんな
風に(ネガティブ感情)を感じているんだね。つらいんだね。
あなたが(ネガティブな感情)を経験しているのはわかるよ。
こういう状況だとあなたは(ネガティブな感情)と感じるんだね。
と最初に言ってあげてください。
人間は、十分に誰かに感情を受け入れられていると
自然に気持ちが落ち着いていき、その後でそのネガティブ
な出来事に対する適切なアドバイスを受けたり、適切な
対処ができるようになったりします。
同じことに対して何度もグチっている人は、受け止め
足りないうちに、自分の感情を批判したり、押さえつけた
りしているのです。
感情を、ただ、そのままで受け止めましょう。
そして、あなたが人の親であれば、自分の子供の
感情を、どんな感情であれ、ただ受け止めてあげま
しょう。その後で、あなたのことをちゃんと信頼し、
いろんなことを打ち明けてくれるようになります。
