ICF-SW55 結構厄介な代物 | じんけいの修理日記

じんけいの修理日記

趣味とボケ防止を兼ねて古いラジオの修理を楽しんでおります。https://jinkei.sakura.ne.jp/

ICF-SW55の修理です。

コンデンサ交換済みということで購入したが短波はノイズのみ、中波は感度が悪そう、FMは最初は聞けていたが今ではFMにすると電源が落ちてしまう、中波でボリュームを上げて行くとブーっという発振音が出る、というご指摘のSW55です。

 

下の写真はAM(中波)を受信しているところです。中波は一応受信できますがSWは極端に感度が悪く、FMのボタンを押すとしばらくして電源が落ちてしまいました。

 

 

 

 

シリアル番号を確認したところ、なんと2万番台(25969)でした。

 

 

 

 

リアカバーを外して内部を見たところです。テスターで基板を当たってみましたが、結構電解液が広がっているのが確認できました。

 

 

 

 

信号基板を取り外したところです。

 

 

 

全てのケミコンは取りはずされ、容量の大きなコンデンサは新たなチップケミコンに、100µF以下のケミコンはセラコンに置き換えられていました。

 

基板の部品番号を見てみると末尾が-13となっており、これはかなり初期の基板であることがわかります。基板が改版されるごとに末尾が送られて行きます。なので、例えばシリアル番号が57585の基板は-18でした。シリアル88070の基板も-18でしたので-18あたりでやっと回路が落ち着いたのでしょう。

 

 

今回の個体はケミコン交換時に基板に広がっていた電解液の除去が不完全だったため、残っていた電解液が時間とともに基板上に広がりだして悪さをしているようです。この電解液の除去は結構大変で、スルーホール内に残留している液や基板と部品の隙間に潜り込んでいる液はそう簡単には除去できません。私もきれいに除去したつもりでも数日後にチェックするとやはり不具合が発生することが何度もあります。

 

 

今回は状態も悪く、フレキケーブル内にも電解液がしみ込んで銅箔(信号線)が変色しています。

 

 

 

 

 

パワーアンプICも取り外してみましたがやはり基板上に電解液が残っていました。

 

 

 

大半のスルーホールが真っ黒になっているため、中には断線しているものがありそうです。以前修理した2万5千番台のSW55はスルーホールの断線が数か所ありました。厄介なのは、スルーホールが断線していてもスルーホール内に電解液が残留していれば低いインピーダンスで(数十Ωで)導通するのでたいていの信号は伝達されます。ところが周囲が乾燥してくると電解液(四級塩)の水分がなくなり乾燥し、インピーダンスが高くなり導通しなくなります。湿度が高くなると吸湿しまた導通するようになる。ということで、症状が出たりでなかったりするわけです。

 

 

今回もできるかぎり基板をクリーニングした結果、ボリュームを上げた時の発振は止まったかに思えたのですが、一晩窓辺に置いておいて本日動作確認したところ、やはりボリュームを上げると発振してしまいました。まだどこかに電解液が残っているのでしょう。

 

きょうはここまで。時間がとれれば続きは明日。