ソニーのICF-7600A、これは直せんかった | じんけいの修理日記

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ICF-7600と一緒に送られてきたICF-7600Aです。短波のバンドが二つ増え中波とFMを合わせて9バンドになっています(7600は7バンド)。

 

 

 

ご指摘によると、令和5年7月に購入し、問題なく使用しておりましたが、10月に全く受信しなくなったということです。

 

 

 

動作確認してみたところ、受信はしているようなのですが、音声が非常に小さく、また歪んでいます。音声が出ない場合もありました。

 

 

 

さっそく開腹、リアカバーを外して内部を見たところです。

 

 

 

 

パターン面が見えているので信号を追えばどこが悪いのか見当がつきます。

 

 

左下に見えているIC2というのがパワーアンプIC(NECのuPC1212C)なのですが、この入力端子までは信号が来ていますが、出力にはほとんど信号が出てきません。ボリュームを上げるとノイズのような歪んだ音声が少し出る程度です。

5ピンがブートストラップ端子になっており、本来であればこの端子には電源電圧(Vcc)よりもほんの少し低い電圧が出ているはずなのですが、このICはここに電圧が出てきません。出力段の手前のブートストラップ回路が壊れているようです。

データーブックによるとこのICはこんな感じで使うようです。

 

 

 

 

 

ICを交換するには基板を取り外す必要があり、まず、シャーシを本体から外します。

 

 

 

 

で、取り外してみたところ、、、、、、、

 

 

 

 

おおっ、スピーカのエッジ、どないなってんねん。

 

 

 

本機はかなりいじられているのではないかと想像します。

 

 

 

シャーシーを裏返したら小さなギアがポロリと落ちました。どこに付いていたギアかというと、

 

 

 

 

図面で見るとこのギア(㉒)が落ちないようにワッシャーが付いていたはずなのですが、これがなくなっていたのです。

 

 

 

 

適当なCリングで落ちないようにしました(フロントパネルを取り付けると先端がフロパネに当たるので抜け落ちはしないのだが)。

 

 

 

 

で、シャーシをひっくり返して基板を外そうとしたのですが、以前の持ち主が一度は分解した可能性があります。

本機は2個のポリバリコンを使用しており、これらのバリコンを連動して駆動させる際のバックラッシュを軽減するためにそれぞれダブルギア(2枚のギアを重ね合わせてスプリングで引き合うような構造)を採用しているのですが、このスプリングが利いていなギアがあるのです。おそらく分解後再組立て時にテンションをかけずに組み立てたのでしょう。

 

 

 

 

本機は状態が良くないのといじられているとうまく調整できない恐れもあるので、誠に残念ではありますが修理はしないことにいたします。