ソニーの3バンド(中波・短波・FM)ラジオ:TFM-951Jです。
ご指摘の症状としては「音量が小さい、20分ほどで、キャビネッ トが温かくなり確認の結果スピーカーコイル部分、隣のトランスが発熱して居りました」というものです。
ちょっと大きめのラジオです。外観はきれい、No.1のシールがフロントパネルに貼付されています。
後ろから見たところです。単一乾電池4本で動作する仕様ですが本機には外部電源のジャック(DCジャック)が付いていません。ちょっと不便かもです。
裏蓋を外して内部を見ています。ソニーサービスが一度修理していますね。
外部から6Vを印加してみたところ、確かに電流が多く(1A以上)流れます。これは異常です。怪しいのはパワートランジスタです。
ケースから基板を取り外しました。
さらにパワートランジスタをヒートシンクごととりはずします。ソニーボンド、付いてますな。
ソニー製のパワートランジスタ2SB52が付いていました。
トランジスタを取り外しました。足が一本とれてしまいました。
別のトランジスタをマウントしました。絶縁のため熱伝導に優れた窒化ボロンの放熱シート(デンカ製)を使いました。
2SB52はゲルマニウムトランジスタ、載せ替えたトランジスタはシリコントランジスタなので、回路定数を少し変更する必要があります。
これで各バンドとも何とか受信できるようにはなったのですが、トーンコントロールが効きません。
たいていの場合、トーンコントロールのボリュームにシリーズに入っているケミコンの容量が抜けているのが原因なので、コンデンサを交換すれば直ります。本機の場合も付いていたケミコン2µF/6Vの容量が抜けてしまっていたので交換したのですが、様子がちょっと変なのです。
高域を絞ろうとすると、高域のレベルが落ちるのではなくて全体の音量が下がってしまうのです。
何でやねん、ということで回路図を見てみると、、、、
なんちゅうややこしいコントロールの仕方しとるねん。
そういえば以前修理したTFM-951Jのときもボリュームが絞り切れなくてちょっと悩んだことを思い出した。
このモデルはケミコンの容量が抜けてくるとボリュームが絞れなくなったりトーンコントロールの挙動がおかしくなるのです。どこのケミコンの容量が抜けるかにより挙動が変わります。面白い回路です。
ということでケミコンをいくつか交換、IF段で発振気味だったのでこの部分のケミコンも一部交換し、無事動作するようになりました。
交換した部品です。
本機の修理はこれで終了。