じんけいの修理日記

じんけいの修理日記

趣味とボケ防止を兼ねて古いラジオの修理を楽しんでおります。https://jinkei.sakura.ne.jp/

体調が少し回復し、椅子に腰かけての作業であれば少しはできるようになってきました。体を動かすとふらつくのであまり外出はできません。

 

というわけで、数日前からICF-PRO70の修理を始めていました。

症状としては、受信はしているが音が小さい、ENTERキーのキートップがない、ショルダーベルトの金具が片方だけなくなっている、アンテナが根元部分しかないというものです。液晶バックライトの交換も希望されています。

 

 

音が小さい原因はボリュームの不良でしょう。

 

下の写真は外した裏カバーの電池ボックス内部の様子です。

電極が腐食し一部欠けていますが導通は確保できているようで乾電池で問題なく通電できています。

 

 

 

下の写真は同じく裏カバーの内部の写真でDCジャックが載っている基板周辺です。ダイオードの足のパターンに少し緑青がでています。

 

 

 

 

本体内部の写真です。かなりきれいな状態です。

 

 

ボリュームを修理するにはまず筐体からシャーシを取り出す必要があるのですが、、、、

 

 

 

シャーシを筐体(フロントカバー)に固定しているネジがはずせません。ネジの頭が潰れてしまっているのです。

 

 

 

仕方がないのでドリルでネジの頭を削り取り、シャーシを取り出しました。

POR70はケミコンから液漏れしている個体が多いですが、本機は全く液漏れしていません。非常にきれいなのです。ふしぎ。

 

 

 

ボリュームを外したところです。

 

 

 

 

今回ダメになっていたのは音量ボリュームだけで、スケルチボリュームは大丈夫でした。

 

 

下の写真は取り外した音量ボリュームです。アルプス製。

 

 

 

 

 

 

分解しました、

 

 

 

 

 

 

手直しして、再組立てしたところです。

 

 

 

これで大きな音で鳴るようになりました。第2局発の周波数が少しズレていたので再調整しました。

 

 

LEDの変更を希望されていたのでいつも使っている高輝度LEDと交換しました。そのままでは明るすぎ、輝度むらも目に付くので電流制限抵抗をオリジナルの165Ω(330Ωパラ)から更に1.5kΩを追加し1.665kΩとし点灯時の消費電流もずいぶん抑えました。

電流を抑えはしましたが、明るさは以前よりずっと明るくなっています。

 

下の写真が点灯時です。

 

 

 

 

 

無くなっていた金具とキートップも取り付けました。ロッドアンテナに関しては現状のままです。

 

 

 

 

様子を見て問題ないようであれば明日発送いたします。

 

昨年秋に体調を崩したあと、ある程度回復し、何とか修理も可能な状態がつづいていたのですが、少し前から徐々に体調が悪くなりだし、修理にあまり時間がかけられなくなってしまいました。まことに残念無念です。

現在修理待ちの機器が何台もあるのですが、修理完了まで少し時間がかかってしまいます。

修理依頼されている方々、誠に申し訳ございません。

また、私のブログをご覧になってくださっている方々、あまり更新できないと思います。

 

すみませんがよろしくお願いいたします。

受信しているが音が小さく、歪んでいる。最近まで元気よく鳴っていたという、クラウンの4球電池管ポータブルPR-530です。

8のシールが貼付されています。

 

 

確かに音が小さいです。

 

 

背面から見たところです。自作電池入りとあります。

 

 

 

 

裏蓋をはずして内部を見てみましょう。

 

 

 

 

PR-530はフィラメント用に単一乾電池を、B電源用には45Vの積層乾電池(67.5Vの積層乾電池も使える)を用いる仕様です。

本機はB電池を収納する部分を改造し、12Vの積層乾電池が5本入る(6本まで入る)電池ボックスが収納できるようにしてありました。

 

電池ボックスはもともと単5乾電池を6本直列に装填し、9Vを得るためのものだと思いますが、このボックスにアダプターを取り付けた12Vの電池5本とダミーの1本を装填し、60Vが得られるようにしてあります。

 

 

単5乾電池にくらべ23A乾電池は長さ、太さとも少し小さいのでアダプタを介して装填できるわけです。良い方法ですね。

下の写真は単5乾電池と12V積層乾電池23Aを比較したものです。

 

 

 

で、余談になりますが、改造する前のPR-530の本来の姿はどうなっていたのかというと、こんな感じです。

内部には、どこにも結線されていない豆電球が付属しているのです。

豆球がなくなっているものが多いですが、いったいこの豆球は何に使うのでしょう。

 

 

 

本機の側面にはイヤホンジャックと豆電球のソケットが付いています。

 

 

 

このソケットに豆電球を差し込むと、単一乾電池がへたっていなければ明るく点灯します。

 

 

 

この電球はラジオの電源スイッチに関係なく(OFF状態でも)点灯します。したがって、ラジオが鳴らないとか、音が非常に小さい(感度が悪い)といった時に、この豆球を装填してみて、

1.電球が点灯すればB電池がへたって来た(電池寿命)

2.点灯しなければA電池(単一乾電池)の寿命

ということがわかるわけです。テスターを持っていない家庭では重宝した機能でしょう。

 

 

 

余談はこれくらいにして、本機の内部を見てみることにします。

 

 

シャーシを取り出すには単一電池ボックス近くのネジのほかにダイアルつまみの下に隠れているネジも外す必要があります。ダイアルつまみを外してみると、シャーシを固定していたネジ穴が一部破損しています。この部分が破損している個体は多いです。おそらくネジを外さずに強引にシャーシを引っ張り出そうとしたのではないかと思います。

この程度の欠損であればそれほど問題にはならないでしょう。

 

 

下の写真は取り出したシャーシです。

 

 

 

 

 

上方から見たところです。

 

 

 

正面から見たところです。コーンがほんの少し変形しており、大きな音ではボイスコイルがポールピースに擦れます。

 

 

 

 

 

出力管のバイアス抵抗820Ωが約1100Ωになっていたため交換しました。

 

 

 

 

 

ケミコンに容量減少と絶縁度劣化が見られたので交換します。

 

 

 

 

低い周波数帯域のトラッキング調整はバーアンテナに巻かれているコイルの位置を中心方向にずらしたり外側にずらしたりして最大感度が得られるように調整するのですが、本機の場合、フェライトバーにニスで固定されてしまっており、動かすことができません。仕方がないので別途フェライトバーを張り付けて調整をとりました。

 

 

 

本機で交換したのは下記の部分です。

 

 

 

 

 

 

 

これで結構大きな音で鳴るようになりましたが、装填されていたB電源の23A電池がかなりへたってきたため、すぐに音量が下がってしまいます。新たな電池を装填してください。A電池はまだ大丈夫です。

 

2台とも鳴らないが二個一で何とかならないかというご依頼です。

 

 

フロント面に5と6のシールが貼付されています。5の方はフロントグリルが少し凹んでいます。

どちらのセットも音声は全く出ません。時刻の表示は出ますが、片方はタイマーキーが利きません。どちらも液漏れの跡があります。

 

 

 

こちらは5のシールが貼ってあったほうの内部写真です。シリアル番号のシールの下半分がなくなっています。電池の液漏れの影響もありますが、電池ボックスの幅が狭く、最近のアルカリ電池は径が太いためシリアル番号シールが擦れてはがれてしまうのでしょう。

 

 

 

シャーシを取り出してフロント面を見たところです。手前に見えている基板がマイコン基板、この下に信号基板があります。

 

 

 

マイコン基板を外したところです。

 

 

 

 

 

信号基板を見ているところです。漏れ出た電解液が広がっています。この写真ではわかりづらいですが。

 

 

 

 

漏れ出た電解液が影響を与えていそうなところを拡大するとこんな感じです。

 

 

 

 

 

 

液漏れしてそうなケミコンを取り去り基板をクリーニングしたところです。

 

 

 

 

パターンの引き回し方に問題ありの箇所がいっぱいありますね。

例えばこんなところ。ケミコンの足の間やケミコン直下にスルーホールやパターンを何本も通しています。

 

 

 

 

下側のケミコンのパターン上に小さな黒い点が見えますが、このところでパターンが断線していました。

 

レジストをはがしてみると、、、、

 

 

 

 

このパターンが断線しているとアンプに電源が供給されません。手直しした結果音が出るようになりました。

 

 

それぞれの機種の良いとこ取りをして何とか1台動作するものが出来上がりました。

 

 

今回取り外したケミコンです。

 

 

 

 

動作するものが1台出来上がったのでこれで良しとします。

昨日の続きです。

今日はFMのメーターの振れ方がおかしな件の修理です。

入感する電波の強弱に応じてメーター指針が振れなアカンのですが、本機はほとんどMAXのところを指したままなのです。

FMのIF段のトランジスタを適当に交換するとゲインが上がりすぎ、放送が無いところ(局と局の間)でもノイズが大きくなり、それが原因でメーターが振れっぱなしになります。最近のトランジスタはhFEが大きなものが多いのです。今回もこれが原因だろうと思ったのですが、トランジスタに問題はなくICが原因でした。

 

下に問題のICを含む周辺の回路を示します。FM/AMのIF増幅回路ICとその周辺回路です。

 

 

 

 

ICはソニー製のCX162です。

ICの11番ピン(緑色で着色した端子)に10.7MHzのキャリアを整流した電圧(入感した電波の強さに応じて電圧が変わる)が加わります。電波が強いとこの端子の電圧が下がります。信号がないとこの端子は約1.4Vになります。

 

本機の場合、この端子の電圧が1V以下に下がってしまっていました。周辺に付いているダイオードかコンデンサに問題があるのかと思ったのですが、これらは正常でした。このICの入力端子のインピーダンスが低くなってしまっていたのです。おそらく端子の内部(ICの内部)に設けられている静電対策用の保護ダイオードが劣化したのでしょう。

これはICを交換するしかないですね。

 

 

どこに付いているICというと、これ(下の写真)なんですわ。

 

 

ICの上にケミコンがボンドで固定されていたり他の配線が上を通り、これがまたボンド付けされているという、非常に取り外しにくいICなんですわ。

 

 

 

 

何とか取り外せました。

 

 

 

 

 

とりはずしたIC(下)と交換のため別のセットから取り外したIC(上)です。それほどパワーを消費するICではないとおもうのですが、放熱フィンが付いていますね。昔の半導体は熱に弱かったのでしょうか。

 

 

 

 

 

付け替えました。

 

 

 

 

これでメーターがうまく振れるようになりました。ICが壊れた原因は不明です。前の持ち主が基板をいじった際に静電気で壊れたのかもしれませんし、他の原因があるのかもしれません。

 

これでFMの調整や帯域拡張がしやすくなった。よしよし。って思ったのもつかの間。AFCスイッチをON/OFFしても受信状態が変化しないことがわかりました。AFCが常にONになった状態のままなのです。

 

原因は基板に直付けしているコード(線材)の断線です。基板間をコネクタを使わずに直接線材を基板に半田付けしているため、何度も基板を動かすと基板の根元で断線してしまうのです。本機の修理に慣れない修理者が良くやるミスです。私も最初に修理した時には何本も断線させてしまいました。

 

 

 

 

今回も3か所手直ししました。やれやれ。

 

 

 

AFCはOFFの状態で帯域拡張の変更やトラッキング等の調整を行います。76MHzから95MHzまで受信できるようになりました。

メモリはほぼ合っていますが,90MHz以上はメモリがありませんので勘で合わせてください。

 

 

 

メーターとダイアルのバックライトを電球色LEDに交換し、明るすぎた輝度も落としました。

 

 

 

尚、本機に同梱されていた電源コードはピッチが異なるので使わないほうが無難です。受信機本体側の端子に余計な力が加わり破損する恐れがあります。

 

 

 


今回返却時に同梱する部品(取り外した部品)です。

 

 

 

 

 

様子を見て問題ないようであれば明日(木曜日)発送いたしますが。当日、車を法定点検に出すので、発送が翌日になるかもしれません。いずれにせよ発送完了後発送連絡いたします。