『一年を 十日で過ごす 良い男』という有名な川柳が
あります。
（十日を、二十日ともいいます）
現在の大相撲は年間6場所で、各場所は15日間あるので、
年間90日の本場所興行期間があるのですが、江戸時代は
本場所は年に一度しか行われず、しかも日程は10日だっ
たので、こんな川柳が生まれました。
江戸時代の初期の興行は年間8日だったそうで、それが
10日になり、更に年に二回の合計20日になったそうです。
いずれにしろ短い期間働いて、それで一年が暮らせると
は、うらやましい職業です。
実は半月ほど前に、他業種を見学するツアー（？）があ
ったので参加してきました。
アンティーク屋さんとか、ミニカステラ屋さんとか、銭
湯、民泊なども見学して業界の話をうかがって来ました。
中でも一番面白かったのは、漁師さんの話です。
話をしてくれたのは、三十代前半の若い漁師さんでした。
何の専攻だったかは忘れてしまいましたが、〇〇大学の
大学院を卒業して、漁師をしている変わり種と自分で言
って笑っていました。
彼は「この地域の若い漁師は僕だけ」「絶滅危惧種」と
自分で名乗っていました。
何と、彼をのぞいてしまうと、この地域の現役の漁師の
平均年齢は、八十歳になるそうです。
九十代の現役漁師もいると言っていました。
で。
トリガイって貝があるのをご存じでしょうか？
高級な貝なのですが、もっとも有名な産地は京都府の丹
後地方ですが、京都以外の日本海沿岸も漁場ですし、太
平洋側でも、瀬戸内海でもとれています。
彼が話すには、彼以外は全員が高齢なので、他の漁師は
波の穏やかな日だけ出漁して、トリガイとナマコ漁で、
一年に50日間働いて約200万円の収入があり、あとは年
金で生活しているそうです。
高齢漁師は『一年を 50日で過ごす 良い男』なのだそ
うです。
うらやまシス！
彼は、「僕は300日働いてます」って言っていました。
ですが、彼も年金がもらえるようになれば、50日間の労
働で食べて行けるようになるわけで、しかも定年の無い
職業ですから「選んだ仕事を間違えたかなあ」と思えて
しまいました。
まあ『隣の芝生は青く見える』と言いますから、実際に
やって見れば、大変なのだとは思いますがね。
他の仕事をうらやましく思うより、やはり自分の仕事に
自信を、持たなければいけないと思います。
自信を持つことは大切です。
自信があれば心も強くなります。
ずっと昔。大阪に住んでいたのですが、学生の頃、他の
学校の学生も、住んでいるアパートに下宿していました。
で。
買い物に行こうと思ったのですが、アパートの軒下に自
転車があって、知り合いの子の自転車だったので、貸し
てくれと頼むと、快くカギを渡してくれました。
それで近くのデパートへ行って、買い物を済まして帰る
途中で、警察官に声をかけられました。
「ｈｅｙｙｏ！ 兄ちゃん。ちょっと止まってくれやあ」
……大阪の警察官はこんな調子です。
（ｙｅｙｙｏは、流石に言いませんがね）
何せ何十年も、盗難自転車被害日本一だった都市ですか
らね。
「この自転車、パクった自転車やろがぁ」
決めつけてきました。
「はあ？ これは自分の自転車ではないですが、同じア
パートに住んでいる友達の自転車で、断って借りてきま
した。今から帰りますから付いて来てください」
きっぱりと否定して、泥棒と間違われては、自分のプラ
イドが許さないので、警察官に付いて来てくれと強く主
張しました。
警察官は何だかんだと言っていましたが、結局、おとが
めなしで解放されました。
当然の結果だったのですが、自分は納得がいかなかった
ので、憤慨しながらアパートへ帰り、友達にあったこと
を話すと、彼は……。
「ヤバかったなあ。これはパクった自転車やで」と教え
てくれました。
「はあ？ 何やて！」
自分は盗難車だと知らなかったので、警察官にも強い態
度に出たのですが、もし、盗難車と知っていたなら、し
どろもどろの会話になっていたかも知れません。
……やはりね。何でも自信を持つって大切です。
『盗難車 自信で乗り切る 良い男』
うん？ たとえ話が悪いって？
……確かにね。
はい。本日は、これまで！