空芯コイルの容量(インダクタンス)はボビンの直径と巻き数と巻いた状態のコイルの長さから計算できます。
詳しい近似計算法は私のブログ2023年9月4日を見てください。
今回は実際にボビンに少しだけ巻いて基準値(AL値)を求めてから希望のコイルを比較的正確に作る方法でLCメーターをお持ちなら空芯以外の場合にも応用できる計算方法です。
空芯だろうがフェライトだろうが鉄心だろうが利用できるので非常に便利です。
但し、平巻き限定で重ね巻きすると計算が狂ってくるので注意してください。

ここで、AL値について書きます。
AL値とは『コイルのインダクタンスを巻き数の2乗で割った値』です。
単位は通常 [nH/N^2]を使います。
通常と書いたのは[nH/N^2]ではなく[μH/100turns]という条件で書かれたAL値を見たことがあります。
同じAL値と表現されますが今回説明するAL値とは√10倍違うので区別してください。

まず巻きたいボビンのAL値をLCメーターを使って実測で求めます。
手順は
1) ボビンに10回だけ線を巻く。(最終使用する線を使ってください)
2) LCメータでコイル容量を計測。
3) 計測した容量(μH)を10倍した物がAL値。

Φ22の塩ビを利用したコイルのAL値を実測している様子です。

 



使用しているLCメーターは昔作った自作のものでnH表示になってますのでインダクタンスは1/1000の2.17μHです。
AL値は10倍の21.7[nH/N^2]になります。
このボビン(塩ビ管)にN回巻いたときのインダクタンスは次の計算で求められます。

インダクタンス(μH)=AL*N*N/1000

如何でしょう、簡単ですね。
例えばこのボビン(塩ビ管)を使って100μHのコイルを作るなら68回巻けば
21.7*68*68/1000=100.34μH
これを実際に作れば計算値に近い結果となりますよ。

 

 

 

2024/04/25 追記。

訂正いたします。
上記計算に変数ヌケがありました、申し訳ありません。
この計算は巻き始めと巻き終わりがほぼ同じ位置となるトロイダル形状の場合に成り立つ計算です。
棒状のボビンに平巻きでコイルを巻く場合、巻けば巻くほどコイル長さが長くなりますがそれを考慮し忘れてました。
コイルを巻いた時のコイル長さが変わら無いように巻く事が出来れば上記式は成り立ちますが実際はコイル長が変わります。
棒状のボビンにコイルを同じピッチで巻き続けた場合、長さによる補正を考慮し次の計算式になります。
リアクタンス(μH)≒AL*N*N/(10回巻の時との長さ比)/1000
        =AL*N/100

例えばこのボビン(塩ビ管)を使って20回巻けば
21.7*20/100=4.34μH

100回巻けば
21.7*100/100=21.7μH

となります。
謹んで、訂正させていただきます。