14MHz帯の傾斜した倒立型デルタ・ループ・アンテナの製作
(1) はじめに
以前のブログにも書きましたように、昨年(2025年)の春、約14m高の白樺の木が枯れてしまい、その撤去に伴い、その木に設置していた3バンドのすべてのアンテナ、(1)18MHz帯の2エレの菱形ループ・アンテナ(木の真ん中付近)、(2)24MHz帯の1エレの菱形ループ・アンテナ(木の先端でのポールの継ぎ足し)と(3)28MHz帯の1エレの菱形ループ・アンテナ(アンテナの最頂部の支えのために、この木を利用)を下しました。その後、残っている低い木や家屋の一部を利用して、10MHz帯と18MHz帯は横長の長方形ループ・アンテナを、28MHz帯用として傾斜した菱形ループ・アンテナを設置し、主にデジタルのFT8/FT4モードを中心に運用を継続して来ました。FT8/FT4モードの中でも、特にFT4モードのスピィーディーなQSOが気に入っています(実は、RTTYモードの信号音や応答のタイミングが抜群で、その心地良いQSOをとても気に入っていたのですが、誰もQSOしなくなりました。残念!)。バンドがオープンし、FT8モードが混雑し始めると、多くの局がFT4モードのバンドにQSYします。特に春夏のシーズンでは、28MHz帯のFT4モードが賑やかです。ところが、最近、太陽の活動の『サイクル25』のピークが過ぎ、28MHz帯のFT4モードが聞こえなくなって来ました(FT8モードは聞こえていますが、それほど混雑していません)。一方、14MHz帯は、太陽の活動に左右されず、いつも賑やかですが、帯域が狭いFT8モードが常に混雑しているため、FT4モードのバンドもにぎやかです。そこで、FT4モードでの更なる運用を考え、14MHz帯のアンテナを製作することにしました。ループ・アンテナであれば、2波長共振型ループ・アンテナとして28MHz帯でも波が出せますから、春夏のシーズンに28MHz帯が楽しめます。
(2) アンテナの選定
利用可能な木や建物を考慮し、傾斜した倒立型デルタ・ループ・アンテナを選択しました。ただし、以前のブログ『自作アンテナの勧め ー21MHz帯菱形(ダイヤモンド)ループ・アンテナの製作法を分かり易く解説』の『ループ・アンテナの選定』の中でも解説しましたように、デルタ・ループ・アンテナの入力抵抗値は100から300オームで、給電同軸ケーブルの抵抗値(50オーム)との抵抗整合が必要になります。アンテナの調整の際、アンテナ・アナライザーによるアンテナの入力抵抗値の測定が必要ですし、市販の、もしくは自作の『電圧バラン』が必要となります。
(3) アンテナの構造
最上図には、作成したアンテナの全体構造を示しています。最も高い部分は地上高8mで、家屋の煙突部分を利用しています。給電点は、4m程度の木の地上高2.5m程度の所です。黄色丸は給電点、赤色線はアンテナ・エレメント・ワイヤー、褐色線はナイロン製の紐を示しています。それぞれのアンテナ・エレメント・ワイヤーの長さは、いつものように、アンテナのシュミレーション・アプリMMANA-GAL(CQ誌2020年6月号別冊で紹介されました)を使用し、利得や打ち上げ角を留意しながら最適化を行いました。最適化の中心周波数は、デジタル・モードを意識し14.08MHzです。
最上図に最適化したアンテナのサイズも示しています。給電点から三角形底辺までの2本の斜辺エレメントの長さは6.02mです。底辺の長さは9.86mです。底辺のアンテナ・エレメント・ワイヤーの両端を、紐を使って支えています。なお、家屋の煙突部分と紐の間には、以前のブログ『28MHz帯の傾斜型ひし形ループ・アンテナの製作』の中で紹介した『引きバネ』を入れ、アンテナが強風に煽られた場合、紐に強度の余裕を持たせています。給電点の位置は、アンテナの底辺エレメント・ワイヤーの両端を支えている紐の長さで調整をします。
(4) アンテナの設置
給電点での2本のアンテナ・エレメント・ワイヤー端(給電点につながる、2本の斜辺エレメント・ワイヤーのみ)を、上図に記載したアンテナ・エレメントの長さよりもそれぞれ30㎝程度長く(つまり6.32m)切り出します。アンテナ・エレメント・ワイヤーだけを設置後、アンテナの入力抵抗値(Z)を給電点で測定し、リアクタンス成分(X)がゼロになるように、給電点で2本のアンテナ・エレメントのワイヤー端を同じ長さずつ切り込んで下さい。少しずつ(例えば5㎝程度ずつ)切り込むと、リアクタンス成分(X)がプラスからゼロに近づいて行きます。リアクタンス成分(X)をゼロにすると、当局の場合、レジスタンス成分(R)が234オーム付近になりました。前出のアンテナのシュミレーション・アプリMMANA-GALを使用し、アンテナ・エレメント長の最適化を行った際は、アンテナの入力抵抗値の計算値は217オームとなりましたから、ほぼ計算通りです。
(5) 4:1電圧バランの自作
上記のように、アンテナの調整後に測定したアンテナの入力抵抗値のレジスタンス成分(R)が234オーム付近になりました。この値に基づき、巻き比2:1、つまり抵抗比 2²:1²=4:1(200オーム:50オーム)の電圧バランを自作することにしました。回路図を上に示しています。2本の電線(白色と黒色)を小さなトロイダル・フェライト・コアに巻いています。下写真は設置後のタッパー内の給電点ですが、『4:1電圧バラン』が分かりずらく申し訳ありません。なお、回路図から分かるように、アンテナにつながる2つの抵抗の間に給電同軸ケーブルの外皮線(アース側)がつながっています。従って、『電圧アンアン』でなく『電圧バラン』ですので、このバランはコモンモード電流対策機能も兼ね備えています。以前、アンテナの入力抵抗値が50オームであった菱形や長方形ループ・アンテナの場合に追加していた1:1の強制バラン(電圧バラン)やソーター・バラン(電流バラン)の挿入は不要です。
(6) アンテナと給電同軸ケーブルとの接続
給電点は、紐などで固定するために2本のエレメント・ワイヤーを束ねてループとし、ナイロン結束バンドで木に固定しています。写真のように、タッパーなどのケースに入れた4:1電圧バランに接続します。バランは必ずタッパーなどの非金属性のケースに入れて防水処理をして下さい。アンテナ・エレメント・ワイヤーとバラン、もしくは給電同軸ケーブルとの接続は、当局は半田付けをしています。市販のバランを利用する場合、ねじ止め、もしくは給電ケーブルのコネクターで直接接続して下さい。(写真では、ソーター・バランも映っていますが、これは不要です)。
(7) アンテナの輻射特性
上図は、アンテナの調整後、給電同軸ケーブルのリグ側で測定したバンド内のアンテナのSWR値です。給電点の地上高は2.5mです。14.07MHzでSWR値が1.07でした。リグでSWR値を測定しても針が動きませんでした。2波長共振型ループ・アンテナとして28MHz帯で使用した場合の結果も示しています(SWR=1.55@28.07MHz)。
アンテナの輻射特性をMMANA-GALアプリでシュミレーションしてみました(上図)。2波長共振型ループ・アンテナとし28MHz帯で使用した場合の結果も示しています。図のそれぞれの上図はアンテナの上方から、それぞれの下図は側面から見た電波の輻射強度分布を示しています。図中の赤線は水平偏波成分、青線は垂直偏波成分です。ダイポール・アンテナと同様、いわゆる『8の字特性』で、利得は、アンテナの前後方向で最大で、
打ち上げ角70度で5.1dBi、
40度で4.4dBi
30度で3.3dBi
20度で1.4dBiでした。
2波長共振型アンテナとして28MHz帯で使用した場合の最大利得は、打ち上げ角32度で5.2dBiとなりました。
なお、給電点の地上高が高ければ高い程、打ち上げ角が小さくなり、利得が上がります
de WJ2T







