古いHFの無線機IC730Sのメンテナンス、その7です。

つい先日行った IC-741のメンテナンスマニュアルに書いていない箇所の受信感度調整が非常に効果的でしたのでHF10WのIC730Sも回路図を見ながら調整することにしました。
IC-741同様IC-730Sも受信感度調整は未だ一度もやっていない古い無線機なので感度低下しているはずです。

早速作業を行います。
本体の上部及び下部のカバーを取り外すと上面に見えるのがMAINユニット,側面に見えるのがRFユニット,MAINユニットの固定板を持ち上げるとMAINユニットの真下に見えるのが2ndIFユニットです。
先に結論を書くと これらを調整することで受信感度が5dB~10dB程度,送信出力が3%~4%程度向上しました。
送信出力は最後にALCを調整し、13.5V印加時7MHzでぴったり10Wに再調整です。

以下、調整手順です。

上下カバーを外したら本体のアンテナコネクタに50cm程度の同軸をつなげて50Ωのダミーロードをつけます。
送信調整も行うので通過型電力計としてダミーロードとの間にSWR計を繋げておきます。

校正されたSGを持っていないのでいつもの様に自作デジタルディップメーターのコイルの代わりに7.00MHzのXTALを刺して発信させます。
無線機はLSBモードにしてディップメーターとダミーロードとの距離を10cmにしたら7.0000MHzを受信しS5~S9程度に無線機Sメーターが振れましたのでここから調整を開始します。
IC-730Sメンテナンスマニュアルに書いていない調整ヶ所は下記23ヶ所。
受信項目はSメーターが最大なる様に、送信項目はCWモードて若干出力を抑えた5W~8W程度にしてから送信出力が最大になる様に調整していきます。
 

調整ヶ所は

受信
    RFユニット    L27,L28,L29,L30,L31
    2ndIFユニット    L3,L4,L7,L8,L9,L10
    MAINユニット    L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8

送信
    RFユニット    L32,L33
    MAINユニット    L9,L10

調整ヶ所は下記写真を参照。
ここで赤丸は送信、緑丸は受信で緑と赤の二重丸は送受信共通部なので受信で調整します。

MAINユニット(無線機の上面)


RFユニット(無線機側面)


2ndIFユニット(MAINユニットの真下)



IC-730Sは2台あり受信感度調整はこれまで一度もやってなかったので2台とも感度向上。
Sメーターがより良く振れる様なりました。
最後に送信最大出力が10Wを超えてしまいましたのでメンテナンスマニュアルに従いMAINユニットのR150を回して10Wに調整してから送信最小出力が1Wなる様にMAINユニットのR149を調整して作業完了です。