カクテル作りで欠かせない技法の一つである、"ステア"。
カクテルの王様「マティーニ」やカクテルの女王「マンハッタン」など、
一度は耳にしたことのあるカクテルも、このステアという技法で作ります。
ステアで作るカクテルも、シェークと同じぐらいたくさんの種類がありますので、
是非とも習得しておきたい技法です。
・ステアって何?
ステアとは「軽くかき混ぜる」という意味で、
ビルドで作る際も、このステアという言葉を使っています。
しかし、ステアという技法でカクテルを作るというと、
写真のようなミキシンググラスを使ってバースプーンでかき混ぜることを指します。
・ミキシンググラスとは?
ミキシンググラスとは500~600ml程度入る大き目のガラス製のグラスが一般的で、
縁の一部が注ぎ口となっています。
理科で使うビーカーのようなものと言えば、イメージしやすいです。
注ぐときはストレーナー(上写真右)という器具で蓋をして注ぎます。
それぞれ別々に購入しても良いですが、セット売りしているものも多いので、
特段こだわりがなければ、セットで購入するとお得です。
・バースプーンに慣れよう。
ステアは、ミキシンググラスに氷と材料を入れてバースプーンでかき回すのですが、
このバースプーンの扱いがなかなか曲者。
正直、「バースプーンじゃなくてマドラーでいいじゃん」と思う方もいると思います。
ぶっちゃけその通りです。
ただ、バースプーンの方が氷の隙間に差し込みやすいですし、
スプーンの面が広い分、回転の力が広範囲に伝わりやすいです。
慣れると圧倒的にバースプーンの方が効率良くステアできますので、
覚えておいて損はないです。
・バースプーンの持ち方
まずバースプーンの螺旋状の部分を中指と薬指で挟みます。
かき混ぜる際は、この中指と薬指の押引きでバースプーンを回転させます。
親指と人差し指は軽くつまむ程度。
この部分が支点となりますので、動かないように注意しましょう。
ただし、握り込んでしまうとバースプーンが回転しませんので、あくまで添えるだけ。
実際に持つとこんな感じ。
・実際にバースプーンを回してみる。
それでは、早速回してみましょう。
スプーンの背は常にグラスの内側につけるようにします。
1.薬指を手前に押し出して、奥側にスプーンの背を当てます。
2.スプーンの背をグラスの内側に当てながら中指で押し戻します。
3.そのまま手前まで、戻ってきたら…
4.再び薬指を押し出して、手前に回転させます。
1~4の動作を繰り返して、材料をかき回します。
常にスプーンはグラスに触れている状態なので、しっかり出来ていればカチャカチャ音は鳴りません。
音を鳴らさずかき回すことを意識しましょう。
・水と氷を入れて感覚を掴もう。
ステアの練習はバースプーンをひたすら回すしかないのですが、
実は何もないところで回すのが一番難しいです。
次に水だけを入れて回す練習ですが、これもなかなか難しいです。
では、一番簡単に回す方法何か?
それは、
「水と氷を入れる」
です。
なぜ、この方法が簡単なのかというと、氷の重さによる推進力で、
スプーンが自然と回りやすいからです。
私も初めはひたすら水の中でスプーンを回していましたが、
全然感覚が掴めず、困り果てていました。
調べていくうちに、氷を入れる方が回しやすいことを知り、
半信半疑で入れてみたのですが、
氷を入れた途端、するする回り始めたので非常に驚いたのを覚えています。
練習用では普通に家で作るキューブアイスで十分なので、
まずはバースプーンを回す感覚をしっかり掴んでください。
写真よりも、実際の動きを見た方が分かりやすいので、
YouTubeで見つけた、分かりやすい動画を紹介しておきます。
・ステアの仕方
最後にステアでカクテルを作るときの一連の流れです。
こちらの動画を見ながら解説していきます。(0:35からカクテルを作り始めます。)
※ステア以外の動作も補足で入れていきます。
1.カクテルグラスに氷を入れる。(0:35)
ステアに限った話ではないですが、あらかじめグラスに氷を入れることによって、
グラスそのものを冷やすことができます。
宅カクの場合は普通のキューブアイスで十分です。
2.ミキシンググラスに氷を入れる。(0:42)
宅カクならば、家の冷凍庫で作る普通のキューブアイスでも大体は十分だと思っているのですが、
ステアに関しては氷の粒が大きい市販のロックアイスを使った方が良いでしょう。
理由としては、溶けにくいことと、隙間を作りやすいのでバースプーンが差し込みやすいです。
3.水を入れて軽くステアする。(0:48)
氷についた霜や角を取ります。
また、ミキシンググラスそのものを冷やす目的もあります。
下準備とはいえ、材料に触れる氷ですので、ミネラルウォーターを使った方が良いです。(または浄水)
4.ストレーナーを被せて、水を切る。(1:02)
動画では、使った水を捨ててしまうのですが、
自宅でそれはもったいないので、私はチェイサー代わりに別のグラスに移します。
5.カクテルグラスの氷をステアし、グラスを冷やす。(1:10)
氷をステアすることによって、グラス全体が冷やされます。その後、
氷を捨て、グラスの水をよく切っておきましょう。
6.材料を入れる前に、もう一度水を切る。(1:25)
水っぽいカクテルほど残念なものはありません。
しっかり、切っておきましょう。
7.材料を入れ、ステアする。(1:33)
ステアは時間との勝負です。手早く材料を入れ、ステアしましょう。
ステアをする際、左手の指先をグラスに当て冷え具合を確認します。
(もちろん動かないように押さえる意味もあります)
8.ストレーナーを被せ、カクテルグラスに注ぐ。(2:10)
注ぐ際は、ストレーナーの柄のところに人差し指をかけ、
蓋が外れないように注意しましょう。
長くなりましたが、以上でステアの仕方になります。
ステアは、比重の軽い材料をかき混ぜるのに適しています。
シェークに比べて静かに材料を混ぜることができるので、
材料そのものの風味をストレートに出すことができます。
また、色味も濁りなく綺麗な状態で注げます。
バースプーンでスムーズにかき混ぜるには、ややコツがいりますが、
ステアができるようになると、カクテルの世界がグッと広がりますので、
是非、挑戦してみてください。
自分自身、まだまだ練習中なので、
色々な記事や動画、また実際のバーテンダーの動きを見て勉強することをおススメします。
これで、やっとステアで作るカクテルの紹介ができます…(^^;
それでは、今回はこの辺で。