まず最初に言っておきたいのは今月はまだ追加でイヤフォンを買うつもりはなかったってこと。
一応、次に買うのはフルBA機種のKZ AM16あたりを次のアリエクセールがあったら買おうかなくらいに考えていただけなんですよ。もしくはシングルDDのTANGZU Wan'er S.G スタジオ エディションとか、Kiwi earsのDORCEとかCadenzaとかのお手頃だけどまだ持っていないメーカーのもの。他にもTRNのShellなんか良さそうだな欲しいななんて思っていただけで、まだしばらくは買うつもりなんてなかったんです。ほんとなんです。
でも、まだ買う気はないんだけど一応調べておこうと気になっていたKiwi earsを調べていたらこんな動画レビューが出てきちゃった。
DORCEやCadenzaを調べていたはずなのに関連動画に出てきたコレをみちゃったらあらまぁ大変。特にここ、動画5分20秒くらいを見た私は大興奮。イコライザーカーブで真ん中の中音域が凹んでいないフラットなものなんて持っていないし聞いてみたいっ、欲しいっ!って思っちゃったんだ。名前もOrchestraだし絶対に私好みに違いない、と。
値段がヤバいのでこれを買うわけにはいかんと物欲を押さえつける為になにか安いものを買ってしまって物欲を紛らわせようと現在気に入っているVX PROやPRXに近いものを探してみたらこんな感じのものを見つけましてね・・・
Orchestra Liteが持つフラットなイコライザーカーブが欲しいならそれに似ていてVX PROと特性がかぶらないCadenzaでもいいんじゃないか?と思いまして3万円もするOrchestra Liteを買っちゃわないように高くても5千円なCadenzaを購入することでとりあえず自分を満足させてみようと注文してみたんです。でもね、「どうせ欲しくなるに決まってる」「どうせならいいものを買った方がいい」「下位機種なんて使わなくなるじゃん」そう悪魔がささやくわけですよ、「やっちゃえよ」って。
せっかく3133円なんてお手頃な価格で注文できたのにキャンセル。
そしてやってしまったんだぜ!
Kiwi ears の Orchestra Lite を買ってしまいました!
3万円もする私にとっては超高級イヤフォンなんですけど、我慢できなかった。だって名前がOrchestraだよ。オーケストラをよく聴く私向けに決まってる。
セールでいつもより安かったんだもん!どうせ買うんだったらセール中に買った方がいいと思ったんだもん!早く手に入れた方が日割り計算で考えるとお得なんだもん、と。
AliExpressよりも安かったしちょうどセール中だし次の日に届くし!とAmazonで買ってしまいました(=_=)
いよいよ今月の趣味用予算、完璧にオーバー。
デビュー時と違って現在は5色から選べるようになっており、私は大好きなかっぱ色、緑を選んでみました。もう発売されてから2年も経っていていろいろ詳しいレビューが既に出ているので何も語らずに画像だけ並べておきます。
マジで美しい。かなり分厚くて形状はスタイリッシュではないんですがクリア素材が光を通してキラキラしていて結構好み。巨大な低音用を含む8こものBAドライバーがギュウギュウに入っている様子や導音管というのですか?それぞれのドライバから管が伸びているのが見えて感動。そりゃぁ3万円しますわと納得の見た目。
そうそう、付属のケーブルがL字じゃない臭くない、いい感じのものだったのはGoodGodポイント。L字だったらさらに追加でケーブルを買わないといけなかったので追加費用がかからないのは本当に助かります。まぁ、結局イヤーピースを追加で買う羽目になってしまったんですがそれは後述します。
そのイヤーピースはこんな感じのものが3種類付いていました。
これがまぁ私の耳に全くあわないし、それ以外を試すもいいものがみつからなくて一週間近くイライラしてました。詳しくはこちらで書いてますのでご覧ください。
こんな感じでようやくSpinFit W1にもだいぶ慣れ、落ち着いたのでこうやってレビューする気になって書いてます。NICEHCKの03とか04のオススメを頂きましたが散財しすぎて財布が厳しいのでとりあえずこのまま使っていこうと思います。
ちなみにかなり分厚い筐体なので装着感悪そうに見えますが意外にも全く気になりませんでした。イヤーピース選びに難航しますがそこをクリアすれば見た目ほどそんなに重くないので非常に快適につけられます。
密閉性がかなり高いので装着すると外部の音はかなり遮断されます。ノイズキャンセルイヤフォンほどの静音ではもちろんありませんが、耳栓代わりくらいにはなるくらいの遮音性を持っています。レジンで埋め尽くされているからですかね?これは今までにない感覚でした。
というわけで前置きが非常に長くなりましたがその3万円のイヤフォンの音質はは結局どうなんだ?という話ですけどね、まぁ一言で言うとこれ。
名前の通り、オーケストラが得意な超バランス型イヤフォン
今まで色々なイヤフォンを買ってきたんですが、中音をクリアかつ密度のある音で再生するものがないなぁって思っていたんですよ。持っているものの中ではKZのPR3、PRXあたりがなかなかいい中音を再生してくれていい線いってたんですがそれでも私には物足りなかった。引き締まった低音、抜けのいい中高音を楽しめるのでTRNのVX PROもかなりお気に入りだったんですがそんなお気に入りでも大編成のオーケストラなんかではどうにも弦楽器が薄く感じてオケ曲を聴くときはヘッドフォンのSONYのM1STを使うなんてこともあったくらい。シャリシャリ感を感じるものばかりだと感じていたわけ。
そこで中音が凹んでいないというレビューをみてこのOrchestra liteを衝動的に買ってみたわけなんですが、その音はまさに希望通り、期待通り、しっかりと厚みのあるストリングス、バランスのいい金管セクションを楽しめるイヤフォンでした。
この曲、スネアのあとのファンファーレが手もちのイヤフォンではどうも高音ばかりきこえてしまって、特にトランペットの1stが飛び抜けてしまって不満に思っていたのですが、Orchestra liteはやってくれました。1stだけが飛び出ることなく、まとまり感ある重厚なファンファーレを聞かせてくれたんです大興奮なんです。この上も下も真ん中もバランス良く鳴らしてくれるイヤフォンを持っていなかったので衝動買い大正解。名前に恥じない、ちゃんとオーケストラの厚みを再生できるイヤフォンでした。
中音を凹ませていないフラットな再生機器ってラジカセみたいなモヤッとした音質になりがちなんですが、そうならずに抜けの良いクリアな鳴りをしてくれるのが気持ちいい。他のドンシャリ気味なイヤフォンとは違って爽快感は抑えめなので、そういうのが好きな人にはちょっと渋めにきこえてしまうかもしれませんがそもそもオケの音ってこういうものだよねと納得する音作り。まさにオーケストラ。
フルBA機ということで低音の再生に不安があったんですがそれは杞憂に終わり、十分な、しかもスッキリと鋭く締まった低音を効かせてくれるので花丸をあげたいくらい。ホールで聴く実際のコントラバスやバスドラムの音圧よりは強めなのでこれで十分。本当にちょうどいい。ロックを聴くには物足りないですけどね。
音のバランスの良さも感動ポイントだったんですが、もっと凄かったのがヴァイオリンの生々しさを再現できていたこと。
私が試聴で使ったCDと同じものがあったので載せておきますが、このSibeliusの3楽章、ヴァイオリンをちゃんとヴァイオリンの音として生々しく再生してくれるんですよ。ドンシャリイヤフォンだとヴァイオリンのキラキラしたところは本物よりも派手にピッカピカに再生されてそれはそれで美しいんですけど本物の生のヴァイオリンの音ってもっと高音だけではない厚みのある音がしますよね?それがちゃんと出てくる。詰まっている音がするので聴いていて本当に楽しい。
それだけではなく、ソロが終わった後のトゥッティも厚みがあってものすごい迫力で迫ってくるのでいい。ヴァイオリンからヴィオラにかけてのあの音域の厚みがあって非常にジューシーで深みがある。金管楽器ならばトランペットからホルンあたりの音域が本当にいい。ヴァイオリンコンチェルトを聴くならこのイヤフォンは最高です。
他にもモツレクとかヴェルディのレクイエムとかマーラーの合唱付きの曲なんかもとても相性がよく迫力あるものが楽しめて最高。大編成ほど威力を発揮しますね。どれだけ音があってもごちゃっとしないのが魅力。
今までのイヤフォンが視力0.6でしかも片目で見ていた世界だとしたら、そこに眼鏡をかけて1.5になり両目でみた時みたいに全部がみえる、感じられるイヤフォンです。総じてクリアで立体感があり大満足です。
聞きたい音がそんなに音量を大きくしなくてもきこえてくるので音量をそこまで大きくしなくてもいいのも魅力。ポップスでは飾りっ気のない透明感あるボーカルも楽しめます。
他にもいろいろなジャンルを聴いてみて思ったのですが、私が「開放感あるのに刺さらない高音、痩せていなくて中身のある中音、ぼやけていない引き締まった出すぎない低音」と渋めなものを好むせいかどれを聞いても満足するバランスで再生してくれちゃってこれからどうしようと。ゴールか?ゴールなのか?もうイヤフォンを買うことはないのか?と。
欠点はないのかと考えてみたのですが、ちょっとお高いのと自分にあうイヤーピースを選ぶのが大変なことくらいですかね。音色に関しては不満に思うところがありませんでした。あえて言うならばダンスミュージックなどの派手めな曲を鳴らしたときに期待するはじけた音にならず、全体的にまろやかな感じになってしまうことくらいですかね。向いていないのは強烈な低音が好きな人、ちょっとでもこもった感じがするのが嫌な人。低音はある程度しか鳴らないしよくあるイヤフォンに慣れてしまっていると中音やボーカル周りの伴奏がすこしこもったようにも感じる音質なのでそこだけ気をつけてもらいたいかなと。
あれだけ歌声が艶やかだと気に入っていたPRXをしのぐ艶やかさ、生々しさを感じられるので3万円払っただけあったなと安心しました。これで今まで持っていたものと変わらなかったなんていうと残念すぎますからね。やはり値段が高いイヤフォンはそれなりにいい音がするもんなんですね。安心はしましたがこれからが不安。今後どうしたらいいんでしょう。
冒頭にあげたイヤフォンはやっぱりまだ欲しいなって思っていますが、VX PROの時にも思い知らされた値段と音色が明らかに比例している事実があるので3万円のこれより安い物を今後買っても意味があるのかと考えちゃいますよ。まぁ、趣味なので聞かないのに大量に並んだイヤフォン達をみてにやにやするのもアリだとは思うのですが、ほんと、どうしよう。まぁ、今は散財しすぎて余裕がないので買う気はまだありませんが、余裕出てきたら買うんだろうなぁ・・・
去年TRNのConchを買ったことから始まったイヤフォン漁りがついにここまで来ちゃったと。まぁ、高いイヤフォンを買うことにはそんなに抵抗がなく、他にもM1ST、BOSEのQuietComfort Earbuds等持っているのでいずれ買うだろうとは思っていたんですが手を出すのが早かったなぁと。まだまだ低価格だけどいい音がするイヤフォンを買い続けるつもりだったんだけど。
以上、Kiwi EarsのOrchestra Liteを購入したお話でした。お値段以上とは言いませんが、しっかりと3万円の価値を感じられるとても優秀なイヤフォンです。クラシック好きの方には特にオススメ。次のセールでレッツ清水ダイビング!