スンジョ:“さてと、じゃあ次のアトラクションに行こうか?
たしか、メリーゴーランドだったよな?”
スンハ:“ん~、やっぱりいい。もうお家に帰ろう。”
スンジョ:“どうした?楽しくないのか?”
スンハ:“ううん、楽しいよ♡パパとデートできてすっごく嬉しい♡でもスンハ、やっぱりママも一緒がいい。
だから、今度ママも連れてきてあげよう♡”
可愛らしい笑顔を見せるスンハ
スンジョ:“そうだな。”
その言葉と、子供らしい笑顔に、温かい気持ちになり、もう一度頭を撫でてやった
スンジョ:“帰る前に、少し寄りたいとこがあるんだ。一緒に来てくれるか?”
スンハ:“いいよ♪”
《救護室》
スンジョ:“すみません。さっき倒れた者の身内なんですが…”
中に入ったもののスタッフはおらず、3つに仕切られたカーテンの一つからおずおずとハニが顔を覗かせた。
スンハ:“ママ?!”
“なんでここにいるの?”
ハニ:“アンニョン…”
バツが悪そうにしながら小さく手を挙げるハニ
スンジョ:“家で留守番するのが寂しくて追いかけてきたんだと。”
スンハ:“じゃあパパが診たのって”
スンジョ:“ママだ。”
ハニ:“ヘヘッ”(苦笑い)
スンハ:“どうして隠れてたの?”
ハニ:“だって見つかったら怒られると思ったんだもん。”
(ボソッ)“……怒られたし。”
ハニを睨むスンジョ
スンジョ:“アトラクションに驚いて倒れるなんて、まったく、どっちが子供なんだかわからないな。”
口を尖らすハニ
スンジョ:“おまえ、これからどうする気だ?帰るのか?”
ハニ:“そりゃ、…一緒に回りたいけど。今日は2人でデートなんでしょ!”
拗ねるような口ぶりのハニ
スンジョ:“スンハはやっぱりおまえも一緒じゃなきゃダメなんだと。”
ハニ:“え?!そうなの?”
“あ~んスンハ~♡ありがとう♡大好きだよ♡”
スンハに抱きつくハニ
スンジョ:“それで?どうするんだ?”
ハニ:“もちろん一緒に回るに決まってるじゃない!”
スンジョ:“スンハは?それでいいか?”
スンハ:“うん♡”
笑いあう2人。
そんなおまえたちが愛おしく、愛するものの笑顔に、呆れ顔だった俺も自然と顔が綻んで(ほころんで)いた。
スンジョ:“じゃあ、メリーゴーランドからかな?”
スンハ:“うん♡”
俺達は3人でメリーゴーランドに向かった。
《メリーゴーランド》
スンジョ:“スンハは馬に乗りたいんだよな?どの馬がいい?”
ハニ:“やっぱり白馬だよね?”
スンジョ:“お前には聞いてない。乗りたきゃ勝手に乗れ。”
ハニ:“なによ。”
スンハ:“…あのね”
スンジョ:“うん?”
スンハ:“スンハ、カボチャの馬車に乗りたい♡”
スンジョ:“馬車?馬じゃなくていいのか?”
ハニ:“まだ届かないもんね。ひとりじゃ乗れないよね。ママが乗せて”
スンハ:“違うの。お馬さんはね、1人ずつしか乗れないでしょ?スンハ、パパとママと一緒のに乗りたいの。”
ハニ:“スンハ…”
“わかった!じゃあ馬車にしよう♡スンジョくんも、もちろん乗るよね♡?”
スンジョ:“あぁ。”
そうして俺たちは3人で馬車に乗った。
昨日は、ハニに対して独占欲を露わにしていたスンハだが、
さっきの迷子の男の子との出会いが考えを変えさせたのかもしれない。
どんなに賢くても、まだ一年生、母親が恋しくなったのだろう。
それに、
普段なかなか3人で過ごせない俺たちだからこそ、3人で過ごせる時間を大切にしたい。
スンハもそう思ってくれたのかもしれない。
その後、幾つかのアトラクションで遊んだ後、キャラクターショップでスンハの背丈ほどある巨大なぬいぐるみと、小さなぬいぐるみ、友達への土産を買い、パレードを見た。
よほど楽しかったのか、遊び疲れたスンハは帰りの車の中でぬいぐるみを抱いたまま眠ってしまった。
ハニ:“疲れて寝ちゃったのね。”
“そういえば、前に3人で来たときもやっぱり帰りの車の中で寝ちゃったのよね?”
“ふふふ、大きくなってもまだまだ子供ね♡”
スンジョ:“……。”
《自宅》
家に着くとスンハを起こさないよう優しく抱きかかえ、スンハの部屋に運んだ。
こうして見る寝顔はあの頃とちっとも変わらないのに、俺の腕にかかる重さが、この子の成長を告げる。
スンハが生まれてからもう6年、あっという間だった。
日に日に大きくなるスンハ、
こうして3人で一緒にいられる時間なんてあっという間に過ぎ去ってしまうのだろう。
女の子は成長が早いと言うから、そのうち、男親となんて出掛けてくれなくなるかもしれないな…。
いつも、仕事でなかなか遊んでやれないが、おまえが俺といたいと思ってくれるなら、俺はもっとその想いを大切にしてやらなきゃいけないな。
楽しかった時間が、おまえの心を豊かにしてくれるように。
愛された記憶としておまえの心に残るように。
おまえは俺の大切な宝物。
いつだっておまえの幸せを願ってる。
だけど、いつか必ず俺の手を放れていく日がやって来る。
そんなのまだ先の話なのに、
バカだよな…。おまえの成長が嬉しくて、楽しみなのに、俺から 離れていくようで寂しい気もするんだ。
過ぎ去る時間も、お前の成長も、止めることなんて出来やしない。
だけど、
できることなら、いつまでも小さな娘のままでいてほしい…
なんて俺も相当な親バカだな。
スンハ:“フフフッ”
スンハをベッドに下ろし、部屋を出て行こうとすると、不意に、寝ているはずのスンハが笑った。
クータンと遊んでる夢でも見てるのだろうか?
その幸せそうな寝顔に、俺の悩みもちっぽけに思えて、寝ているスンハの頭をなで、小さなおでこにキスを落とした。
“おやすみ、スンハ”
おやすみ……俺の小さなお姫様
end.