スンハが行きそうな場所を考えながら、もしも事件にでも巻き込まれていたらと思うと心配でたまらない。
おまえに何かあったら、俺は…
♪~(携帯の着信音)
こんな時に…。
“もしもし”
「パパ?スンハだよ。」
“スンハ?今、どこにいるんだ!大丈夫か?”
「動いちゃダメだって言われたのに、ごめんなさい。」
“そんなことはいいから。どこにいるんだ?”
「…迷子センター」
?!
“わかった。すぐ行くからそこを動くんじゃないぞ。”
電話の向こうのスンハは落ち着いていて、自分の状況をきちんと理解しているようだった。
事件に巻き込まれたのでなくて本当に良かった。
しかし、
だったらなぜあのベンチで待ってなかったんだ?
それに、さっきの迷子放送は確かにスンハとは別人だった。
なのに、なぜスンハが迷子センターにいるのか?
理解できないことだらけだったが、スンハの無事を確認したくて、俺は、迷子センターに急いだ。
《迷子センター》
スンジョ:“すみません。こちらに娘が”
スンハ:“パパ!”
スンハの元気な姿にホッと胸をなで下ろした。
スンジョ:“ご迷惑をおかけしました”
係員:“いえいえとんでもない。”
“スンハちゃんはね、この子を連れてきてくれたんですよ。”
そこにはさっきの放送でいわれていた風体の男の子と、その両親がいた。
迷子の父親:“ありがとうございました。
うっかり手を離したらいなくなってしまって。私達も捜していたのですが、まさかこんな小さな子が助けてくれたなんて。”
母親:“私たちが来るまでずっと手を繋いでいてくれたんです。”
係員:“まだ小さいのに、しっかりした賢いお子さんですね。”
母親:“きっとご両親の教育がいいのね。”
スンジョ:“いえ、そんな。…ありがとうございます。”
簡単な挨拶を済ませ、俺達はその親子とともに迷子センターを出た。
男の子:“おねーちゃんバイバイ”
スンハ:“バイバイ♡”
男の子を笑顔で見送った後、俯き、申し訳なさそうに謝るスンハ
スンハ:“ごめんなさい。パパ”
確かに、いなくなったのは心配したが、スンハを1人にした俺にスンハを責める資格なんてない。
いなくなったのだって、自分より小さな男の子を助ける為。
困ってる人のために動いてやれたこの子をどうして叱ることができるだろう。
膝を折り、スンハの目線に合わせて話しかけた。
スンジョ:“スンハ、おまえがいなくなって、パパはすごく心配したんだ。”
スンハ:“うん…”
スンジョ:“でも、パパも悪かった。”
スンハ:“え?”
スンジョ:“あんなとこにおまえひとり残して電話をかけに行くべきじゃなかった。”
スンハ:“だってパパはお仕事”
スンジョ:“あの子こと、助けてやりたかったんだろ?”
スンハ:“…うん”
スンジョ:“1人でよく頑張ったな。”
そう言って頭を撫でてやった。
怒られると思っていたのか、スンハはビックリして、それから、照れくさそうに笑った。
スンハ:“あの子ね、パパとママがいなくて泣いてたの。だからスンハ、なんとかしてあげたくて…
ママがね、困っている人を知らんぷりするのは悪いことだよって言ってたの。”
スンジョ:“そうだな。”
スンハ:“それにね、パパ、前にママに「迷子は迷子センターに行くもんだ」って言ってたでしょ?だから迷子センターに連れて行ってあげようと思ったの。”
その言葉に驚いた。
確かに、この前、新しくできたショッピングモールに出掛けた際 、俺はハニにそう言った。
けれどそれは、興味があるものを見つけるとすぐ周りが見えなくなる子供みたいなハニを注意するために言った言葉で、その言葉自体、会話の中のワンフレーズに過ぎなかった。
~そのときの台詞~
『ったく、スンハよりもお前が迷子になりそうだな。〔迷子は迷子センターに行くもんだ〕が、こんな大きな子供も受け入れてくれるのか?』
なのにおまえはその言葉に従って、行動したっていうのか?
子供は親の背中を見て育つというが、スンハは俺たちが思う以上に俺達のことをよく見ていて、何気ない言葉や行動から学習している。
この子の賢さに驚き、同時に俺達の言動は全てこの子の成長に影響するんだと改めて感じ、親として気が引き締まる思いがした。
まだ一年生なのに、俺たちの言葉を信じ、自分のことよりも、見ず知らずの誰かの為に行動できたスンハ。
前にここを訪れたあの日から3年と少し、俺にしがみついていた女の子が、たった数年でこんなにも成長するものなのか?
ずっとそばで見てきたはずなのに、俺は、おまえのことをどれだけ分かってやれているんだろう?
子供の成長の速さに驚き、父親としての自分の未熟さを再認識させられた。
俺たちは親としてちゃんとおまえの人生の道標になれているのだろうか?
to be continue…