スンハが乗りたがっていたのはこの遊園地の一番人気のアトラクションで、巨大な4Dシアター内をコースターで駆け抜けるという 体感型の最新のアトラクションだ。
タイムマシンに乗り、様々な時代を探検するという設定なのだが 、 ジュラ期では恐竜に近づき、荒々しい鼻息を感じ、原始人が肉 を焼けば美味そうな匂いが漂い、かと思えば、未来で空飛ぶ車とぶつかりかけ、激しいアップダウンにみまわれる。
視覚だけでなく感覚すべてを刺激し、まるで現実に起こっている かのような錯覚をおこす。時には悲鳴も聞こえるほどだ。
最後はタイムマシンの故障で海への不時着を余儀なくされ、4Dシアターを抜けると同時に、コースターが落下し、盛大な水しぶきが俺たちに降りかかる。
用意されていたレインコートを着用していても全てを防ぎきれるわけもなく、顔も髪の毛も濡れてしまった。
スンハ:“あはは、楽しかったねパパ♡”
びしょ濡れになりながらも楽しそうに笑うスンハの笑顔は、キラキラと輝いていた。
スンジョ:“そうだな。次は…”
係員:“お客様、どうされました?大丈夫ですか?”
後ろの方で係員の声が聞こえた。病人でもでたのだろうか?
医者の職業病か、たとえ休日でも放っておくわけにはいかない。
スンジョ:“スンハ、悪い。パパ少し診てくるから、ここで待っててくれ。動くんじゃないぞ。”
スンハ:“はーい。”
スンハを近くのベンチに座らせ、オレは、係員のところに行った。
数分後ー
スンジョ:“お待たせスンハ。偉かったな。”
スンハ:“あれ?もういいの?”
スンジョ:“あぁ。大したこと無かったからな。”
スンハ:“そっか。良かったね♡”
スンジョ:“そうだな。”
“さて、次はどこに行きたい?”
スンハ:“メリーゴーランド♪お馬さんに乗るの♡”
スンジョ:“よし、じゃあ”
♪~(携帯の着信音)
メリーゴーランドに向かおうとスンハの手を取ろうとしたとき、俺の携帯が鳴った。見ると病院からかかっている。
出ないわけにはいかないが、内容がわからない以上こんな場所で話していいものか…。
スンハ:“パパ、お仕事の電話でしょ?スンハここで待ってるから、電話してきていいよ。”
スンジョ:“……すぐ帰ってくるから、ここを動くんじゃないぞ。”
スンハ:“うん。わかった。”
人混みを離れ、俺は病院に電話をかけ直した。
電話の内容は、担当患者の検査データ報告だけで、軽い指示を出し電話を終えた俺は、急いでスンハのもとに向かった。
移動した時間と電話していた時間を合わせて、7~8分といったところだろうか。
なのに、さっきのベンチに着くと、そこにスンハの姿は無かった。
辺りを見渡すが、スンハの姿は見えず、パスは俺が持ってるからひとりでアトラクションには乗れないし、トイレはすぐ近くにあったが出てくる様子もない。
どこに行ったんだ?
その時園内放送が流れた。
♪ピンポンパンポーン♪
“こちらは迷子センターです。
青いセーターにジーンズ、クータン(キャラクター名)のリュックを背負われた、4歳の男の子をお預かりしております。お父様、お母様は至急迷子センターまでお越しください。
繰り返しお知らせします…”
まさかとは思ったが、やはりスンハではなかった。
この迷子放送がスンハでなくて良かったのか悪かったのか…
こんな場所で目を離すべきじゃなかった。
ひとりでどこかに行ったのか?
キャラクターに夢中になってついて行ったとか?
いや、スンハは賢い子だ。
ここで待ってると約束した以上、あの子はここを動かないだろう。
…だとしたら…まさか!
最悪の事態が頭をよぎり、そんなはずはないと否定しながらも、言いしれない不安が俺を襲う
スンハ、どこにいるんだ?
to be continue…