次の休みー
〈ハニ目線〉
あたしとスンジョくんは2人でポンナムのお墓参りに行った。
そこで偶然、ポンナムのお母さんに会った
母:“ペク先生、オ看護師!”
“来ていただいて、ありがとうございます。
あの子、先生のことが大好きでしたから、きっと喜んでます。”
“ポンナム…次の春、先生とお花見したいから頑張るんだって言ってたんですよ。クスッ”
“先生のおかげで、最後の時まで家族で幸せに過ごすことができました。”
“病院の中では味わえない体験をさせてやれて、短い間だったけど、私達には楽しい思い出がたくさんできました。
本当にありがとうございました。”
お母さんは泣きながら笑ってた。
あたしは気丈に振る舞うその姿に泣いてしまった。
ことばから伝わるポンナムへの深い愛情。
だからわかってしまった。
この人は子供を失う覚悟をして生きてきたんだ…。
そう思うと涙が溢れて止まらなかった。
そんなの悲しすぎるよ……
病院で見てた2人はいつも明るくて、他のどの親子よりも仲の良い親子だった。
でもそれは、お互いがいつか来る日を覚悟して、一分一秒を大切に生きていたからだったんだ。
子供を失い、それでも気丈に振る舞うお母さんに、あたしは看護師としても、同じ母親としても頭が下がる想いがした
あたし、ポンナムのこと全然わかってなかったんだ
看護師は患者さんに一番近い医療従事者。だから笑顔の裏の不安や覚悟に気付いてあげなきゃいけなかったのに…
お母さんが去った後。
あたしは頭の中で何度も同じ言葉を繰り返してた。
“もっとあたしにできること何かあったんじゃないの?”
今更思ってももう遅い。
だけど考えずにいられない。
今のあたしには謝ることしか出来ないから、お墓に眠るポンナムに手を合わせた
。
“気づいてあげられなくて、ゴメンね。ポンナム”
帰り道ー
ハニ:“ねぇスンジョくん、春になって、桜が咲いたらスンハもつれて、お花見に行かない?”
スンジョ:“……そうだな。”
ポンナムのためにあたしができることはもうないけど、せめて、叶えられなかった願いを叶えてあげたかった。
一緒にはいけなくても、心の中にその存在があれば、きっとポンナムに伝わる気がして。
あたしたちの仕事は人の生死に関わる仕事。
どんなに避けたいと願っても、患者の死に直面することは避けられないかもしれない
だけど、そのことに慣れたくないの。
もっと患者さんの気持ちに寄り添える看護師になりたい。
笑顔の裏に隠された不安や覚悟に気付ける看護師に。
幼いポンナムが教えてくれたこと。
ポンナムは美しい桜を見て付けた名前だとお母さんが言っていた。
だから
春がきて、桜をみる度にあたしはきっと彼女のことを思い出す。
不安と戦いながら、いつも笑顔で精一杯生きた彼女。
彼女の笑顔はあたしたちに幸せを運んでくれた。
「ポンナム(桜)」
その名前の通り、満開に咲き誇る桜のように、彼女の命は輝いていたってことを。
end.