昼休み、あたしはスンジョくんの背中を見つけて、思わず後ろから抱きついた。
スンジョ:“おい!なにしてる!離せ!”
ここが職場だなんてあたしだってわかってる。
でも
辛いと言えないスンジョくんがかわいそうで、
泣けないスンジョくんの代わりに泣いてあげたくて、あたしは抱きついて離れなかった。
離そうとしないあたしをひきはがし、怒りながらどこかへ連れていくスンジョくん
スンジョ:“ちょっと来い(怒)”
そこは人があまり通らない建物の陰
スンジョ:“どういうつもりだ?”
ハニ:“…だって、スンジョくん傷ついてるから…”
スンジョ:“…もしかして、ポンナムのこと聞いたのか?”
黙って頷いた
スンジョ:“ったく…余計な気を回しすぎだ。
俺は大丈夫だ。”
“医者は神じゃない。救えない命だってある。”
そう言ってあたしの頭をグシャグシャって撫でた。
ハニ:“もぅ、やめてよ”
スンジョ:“もういいから仕事戻れ………いや、ダメだ。戻るな”
ハニ:“え?”
あたしの顔を覗き込むスンジョくん…
キスされるのかと思って思わず目を閉じると…
フガッ
鼻をつままれた
スンジョ:“何期待してんだ。ここは職場だぞ!”
呆れた顔をしているスンジョくん
スンジョ:“俺はもう行くけど、おまえ、その顔何とかしてから仕事戻れよ。子供達がかわいそうだ。”
そう言い残してスンジョくんは仕事に戻っていった
勘違いだったことに気が付いて、あたしの顔からは火がでそうだった。
恥ずかしさを鎮めながら、さっきのスンジョくんの言葉を思い出した。
そんな顔?どんな顔よ?
気になって、コンパクトで確認したら、泣いたせいで化粧は落ちてるし、目がパンパンに腫れていた。
〈スンジョ目線〉
昨日の俺はどうかしていた。
連日の徹夜でおかしくなっていたのかもしれない。
ポンナムの死を聞き、足元が崩れていくようで、どうしようもない無力感に襲われた。
俺のやってきたことなんて、無慈悲な神の前では何の意味も持たない。
自分がちっぽけな人間に思えて、医師としての自分も、俺の存在も何もかもを否定されてる気がして、気付いたときにはおまえにしがみついていた。
俺はこんなに弱い人間だったのか…?
そんな自分が情けなくて、
事実を無かったことにしたくて、
おまえが起きるより先に家を出て、夢だと思ってくれるよう願っていた。
俺の弱さを誰にも気付かれないように、得意のポーカーフェイスで仕事をこなしていたけれど、やっぱりお前には通じなかった。
“医者は神じゃない…救えない命だってある…”
そんなことはわかってる。
わかってはいるが、
ポンナムはまだ8つなのに…
スンハと一つしか変わらない。
もっとたくさん遊びたかったはずだ、やりたいこともあっただろう、夢だって…
人を助けたくて医者になったのに、俺が治せる病気なんて限られてる…
医学は進歩してるはずなのに、未だポンナムのように救えない命があることが悔しくてたまらない。
病気で苦しむ全ての人を救いたいなんて大きなことは言わないが、
せめて、目の前の命くらいは助けたい。
IQが200あったって担当した患者すら救えない。
無力な自分が悔しくて、拳をギュッと握りしめる。
俺はこの悔しさを、絶対に忘れない。
to be continue…