前回[昨日の投稿]では、1999年に発表された
一対のベストアルバムについて検証をしました。
2枚揃えれば、当時のZARDのヒット曲を網羅でき、
ライトユーザーが聴くには十分なアルバム、という結論を出しました。
今回は、2007年に坂井泉水が逝去したことにより、
結果、オールタイム・ベストとなった
[GOLDEN BEST]の収録内容を見ていくことにします。
その前に、振り返っておくことがあります。
[single collection~軌跡~][Request Memorial]の
両方のアルバムから漏れているシングルが
[Good-bye My Loneliness][不思議ね…][もう探さない]
[眠れない夜を抱いて][IN MY ARMS TONIGHT][風が通り抜ける街へ]
[新しいドア 〜冬のひまわり〜][GOOD DAY][世界はきっと未来の中]
の9タイトル。
シングルの収録がベストアルバムの基本と考えられますので、
これらのシングルの収録にも注目してみましょう。
ZARD[GOLDEN BEST~15th Anniversary~]
累計売上:94.3万枚
2006年度年間26位、及び2007年度年間19位
2007年の坂井泉水の逝去に伴い、
ZARDの作品が大衆から回顧されるようになり、
直近に発表されたベストアルバムが、
回顧による購入の的になったと言えます。
2006年度と2007年度の売上が半々ということは、
仮に坂井泉水の逝去がなかった場合、
累計では50万枚にも届かなかった可能性があります。
そのくらいには、ZARDは弱体化していました。
結果として、最後のオリジナルアルバムとなった
2005年発表の[君とのDistance]は15.2万枚。
生前最後のシングルである2006年発表の
[ハートに火をつけて]は、実に2.7万枚。
ZARDは、ビーイングの没落とともに、
完全に過去の人となっていたことは間違いありません。
坂井泉水の逝去により、メディアに名前が再登場したことで、
大衆が思い出した、と言ったところでしょう。
では、[GOLDEN BEST~15th Anniversary~]の中身を見てみましょう。
まず、1999年に一度、ベストが出ているため、
2000年以降の楽曲が新規となります。
被りを考えた場合、2000年以降の楽曲が
多めであることが望まれます。
そして、活動期間から収録曲数のバランスを考えると、
1999年以前が8年間、以降が7年間となります。
となれば、単純に活動期間で割れば
1999年以前と2000年以降の曲が半々ずつの収録にするのが、
妥当であるとも考えられます。
少なくとも、1999年のベストを2枚とも持っている人にとっては、
2000年以降の楽曲の収録が望ましいです。
では、実際の[GOLDEN BEST~15th Anniversary~]の収録曲は、
1999年以前が21曲、2000年以降が6曲と、
非常に悪いバランスになっています。
ヒットのレベルを考えれば、残念ながら、
2000年以降は、1999年以前から比べれば、
吹けば飛ぶような、凡庸としたものです。
ライトユーザーがほぼほぼ知らない曲ばかりです。
なので、ライトユーザーを意識すれば、
ろくにヒットしていない楽曲の収録は望ましくない。
この論理は良くわかります。
さらに、1999年のベスト2枚との対応を見た場合、
1999年以前の作品でも
[不思議ね…][もう探さない][新しいドア 〜冬のひまわり〜]
[風が通り抜ける街へ][GOOD DAY][世界はきっと未来の中]
と、9曲のうち、6曲が未収録のままになり、
被りの多さが非常に目立ちます。
1999年のベストを手にした人にしては、
[GOLDEN BEST~15th Anniversary~]は
あまり有用とはいえないベストアルバムになっています。
中古の価格を見ると、1999年のベスト2枚を買うのと
[GOLDEN BEST~15th Anniversary~]の通常盤を買うのでは
ほぼ値段が変わらないので、扱いやすさで言えば、
後者を買うことが望ましいです。
この収録内容なら、坂井泉水の逝去なしを仮定した時の、
50万枚程度の売上の見込みは納得できます。
正直、1999年の2枚を持っていれば、
あまり必要さを感じないものです。
1999年にベストを出したことを踏まえて、
収録内容を考えた方が良かったように思います。
活動期間15年で、2枚組のベストアルバムという
形態自体に無理があったのかもしれません。