万緑の浦江・大仁路報告 浦江篇 | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。

先週の土曜日2024年5月25日、

大阪あそ歩の浦江・大仁コースをガイドしました。

阪俗研の会友でもある高橋秀幸さんも参加され、

レポートをいただきました。

わかりやすく「実況」していただき感激しています。

写真も撮っていただいたのを貼り付けます。

今回は、恥ずかしながら

ボクがガイドをしている画像が撮られています。

レポートは2回に分け、今回は、浦江篇とします。

 

◆5月25日 田野先生がご案内する大阪あそ歩

「校歌に歌われた田蓑島」に参加しました。

聖天さんには江戸時代から藤棚があり、かきつばたが植えられた名所だった。

盛んになったのは、明治の末の「北の大火」からで、

そこから参道のようになった。

古い画には、藩の蔵侍(役人)の姿も描かれている。

新地の女性も多くお参りに来た話も。

近くの堂島、中之島には各藩の蔵が多く、

大坂が経済の中心地だった事が分かる。

裏には蓮飯の料亭が過去にはあった。

蓮根栽培は泥水の中で育つので、この地が低湿地だった事も分かる。

壁面に機銃掃射跡の残る東海道線のガードを北に抜け、北浦江に入る。

八坂神社のお稲荷さんでは、

寒の時にお腹を空かせている狐や狸をなだめる為に

先生はあずき飯を供えに廻る「寒施行」をしに

父母に連れられて行った事をお聞きする。

 

以下、田野による書き込み。

「明治の末の「北の大火」から参道」になったところの

福島の「売れても占い商店街」を抜けると

鷺洲(南浦江)の「売らないでも売れる商店街」に入ります。

聖天さんは、すぐ右手(北)に見えておりますが、

わざと鷺洲の商店街を通り聖天さんの大きな石の鳥居を

「ナムダイシヘンジョウコンゴウ」を三遍唱えながらくぐります。

 

ビンズルサンの頭を撫でたり、オモカルサンをそっと持ち上げたり、

聖天さんはマジカルパワーをいただけるスポットがテンコ盛りです。

池に面した絵馬堂で「浪花百景 うらえ杜若」をご覧に入れました。

写真図1 万緑が映える池に面した絵馬堂

池に架かる橋を二本差しの侍が渡っています。

この人物が「藩の蔵侍(役人)」です。

写真図2 「浪花百景 うらえ杜若」

     大阪市立図書館デジタルアーカイブ

     大阪市立図書館 資料詳細 | Detail (osaka.lg.jp)

 

かつての浦江は近郊農村で、中之島・堂島の蔵屋敷の侍にとっては、

行楽がてらのお参りで賑わった場所です。

 

冨さん竹さん夫婦が始めたと宣伝された「蓮飯の料亭」は、

平成の世になって10階建てのマンションになりました。

ここでは、かつての庭園の緑をご覧にいれました。

 

妙寿寺さんの藤棚は、毎年みごとに花を開かせています。

まずは現在の写真をご覧にいれ、

「実は、このお寺は明治のガイドブックでは…」と

『独案内』の四季の名所をお見せして

藤の名所だったことをお話しします。

船場の小学校から遠足に来たという長閑な農村でした。

このお寺は、「福っくらトーク」の会場でもあります。

山門前の掲示板では、6月1日(土)実施の

「大阪の「みおつくし」」の宣伝をしました。

写真図3 玉尾照雄代表制作のポスター

ガードをくぐりますと北区大淀南、かつての北浦江です。

ガード下では、暗闇の先に見える春景色をご覧にいれます。

写真図4 暗闇の先に見える春景色

浦江の八坂さん(素戔嗚神社)の参道は、

大阪タワーが大淀にあったころはABCテレビの桜の名所でした。

昭和40(1965)年頃まで一家で

「寒の時にお腹を空かせている狐や狸をなだめる為に」寒施行に歩きました。

「センギョーセンギョー ノーセンギョー」

(施行施行 野施行)と唱えて、赤飯に油揚げを配って歩きました。

浦江は、かつては「野」でした。

玉垣をみやりますと「田野幸正 冨美子」の名が刻まれています。

ボクの両親の名前です。

「校歌に歌われた田蓑島」伝承は、

境内で話すのは憚られますので、

トイレ休憩の後、浦江公園の藤棚の下で、

『五畿内史』記事に「難波往古図」を照らし、

何れも「宅美」を「たみ」と不自然な読みをしていることを指摘しました。

「田蓑島」は「宅美郷」の語呂合わせ?

道路を隔てて直ぐ右(東)は大仁「ダイニン」です。

大仁の八坂神社に「王仁博士」の伝承があります。

次回をお楽しみに。

 

究会代表

大阪区民カレッジ講師

大阪あそ歩公認ガイド 田野 登