近世大阪の狂言作家でもあった浜松歌国による
随筆集*『摂陽落穂集』は、
文化5(1808)年に刊行されました。
*『摂陽落穂集』:『新燕石十種』第八巻、
1982年、中央公論社
これの巻二に
「野里村一時上臈の事」(以下「テキスト」)が
載せられています。
今回、幕末大阪のジャーナリズムの寵児
暁鐘成に関する原稿執筆のため、
『摂津名所図会大成』記事の
下敷きとなったと推測される記事として
改めて全文入力しました。
「野里村一時上臈の事」は、
今日、野里住吉神社(大阪市西淀川区野里)において
2月20日、荘厳にとり行われる一夜官女祭の
原形をとどめる神事です。
↓ここをクリック
www.city.osaka.lg.jp/nishiyodogawa/page/0000297379.html
野里住吉神社 一夜官女祭(大阪府指定文化財)
以下、適当に改行し
適宜解説を交えながら全文を紹介します。
◆例年正月廿日、西成郡野里村に、
祭神にいけにへを備へる事、
古雅なる事にして見るべき事也、
西成郡野里村は、
中津川に右岸(北岸)の半農半漁の村里でした。
この村里に神饌を供奉する頭屋行事として
伝承されたのが「一時上臈(いっときじょうろう)」を
主役とする神事でした。
旧中津川流域において、神饌を供える宮座神事は
福島区海老江にもキョウ(饗)神事(大阪府指定文化財)が
今日も伝承されています。
↓ここをクリック
o-fukushima.com/rekishi/frekiken-ron-suehiro1
《海老江の「宮座(キョウ)神事」末廣 訂》
「祭神にいけにへを備へる事」とあります。
神に供えられた生け贄が
何物なのかが問題になります。
近世都市の物書き歌国にとっては、
奇異なる神事として「古雅なる事」として
古代に思いを馳せます。
以下、次号にテキストの続きを載せます。
大阪民俗学研究会代表
『大阪春秋』編集委員
大阪あそ歩公認ガイド 田野 登