「暁鐘成」覚書(9) | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。


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前回、「鐘成の観た「古代の遺風」は、
文化人に特有のバイアスがかかった情報」と
述べましたが、
反論もありそうです。

 

今回、再び*長友千代治氏による
鐘成研究からの記事を引きます。
 *長友千代治氏による鐘成研究
 :長友千代治、1994年『近世上方作家・書肆研究』東京堂出版

 

◆鐘成は高いアンテナを建てて
 世相・風俗・芸能・文化について
 受信、詳細に書き留めているのである。
 その感度は良好、歴史や社会万般についての
 好奇心・興味は、
 若年のころから際限もなく貪欲なものであったことが窺える。

 

長友書肆研究は、
鐘成の風俗を含む歴史や社会万般についての
好奇心・興味を讃えています。

 

野里住吉一夜官女祭を「野里一時上臈」として記述した
『摂津名所図会大成』といった
名所図会についての
長友書肆研究における評価は如何でしょう?

名所図会の特徴を次のように記述しています。

 

◆鐘成の名所図会の編述には、
 単に名所旧跡を描くだけでなく、
 天保山、大阪市中、淀川、宇治川など、
 庶民の生活や労働の場が
 描出されていることが特徴となるであろう。
 歴史書、文学書、地誌を博捜して、
 単に名所旧跡を案内する行き方とは別趣向となる。

 

「庶民の生活や労働の場」として挙げている
「天保山、大阪市中、淀川、宇治川」は、
いずれも鐘成による名所図会であります。
「歴史書、文学書、地誌を博捜して
 単に名所旧跡を案内する行き方」は、
『摂津名所図会大成』に先行する
『摂津名所図会』でありましょう。
これとは「別趣向」と評価しています。

 

この鐘成は、
歌国の言説
「祭神にいけにへを備へる事、
  古雅なる事にして見るべき事也」を
示さずに
「一説」として、
「いにしへ生贄をそなへし遺風」として
取り上げました。

 

この言説は
江戸幕府による最初の官撰地誌の
一環である『摂津志』に連なる思潮と
関連づけて読むべきで、
近世知識人が抱いた一連の
「いにしへ」を追慕し
想像する「古代幻想」として
ボクは考えています。

 

暁鐘成は
水辺の村の宮座神事を
「いにしへ」を物語化して
幕末期の読者に
発信した作者でもあったのでしょう。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員
大阪あそ歩公認ガイド 田野 登

 

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