前回、「やぶ入や浪花を出て長柄川」を嚆矢に
長短和漢の十八首の俳詩からなる
与謝蕪村「春風馬堤曲」を軸に
「薮入りの時空間」を
探ることにすると記しました。
テキストとしますのは、*「与謝蕪村「春風馬堤曲」」です。
*「与謝蕪村「春風馬堤曲」」
:http://www.geocities.jp/sybrma/335buson.syunpuubatei.html
便宜的に18首の冒頭に算用数字を振り、
各首を章立てにして第1章から第18章として
構成を見ることから始めます。
春 風 馬 堤 曲 十八首
①やぶ入や浪花を出て長柄川
②春風や堤長うして家遠し
③堤ヨリ下テ摘芳草 荊與蕀塞路
荊蕀何妬情 裂裙且傷股
④溪流石點々 踏石撮香芹
多謝水上石 敎儂不沾裙
⑤一軒の茶見世の柳老にけり
⑥茶店の老婆子儂を見て慇懃に
無恙を賀し且儂が春衣を美ム
⑦店中有二客 能解江南語
酒錢擲三緡 迎我讓榻去
⑧古驛三兩家猫兒妻を呼妻來らず
⑨呼雛籬外鷄 籬外草滿地
雛飛欲越籬 籬高墮三四
⑩春艸路三叉中に捷徑あり我を迎ふ
⑪たんぽゝ花咲り三々五々五々は黄に
三々は白し記得す去年此路よりす
⑫憐みとる蒲公莖短して乳を浥
⑬むかしむかししきりにおもふ慈母の恩
慈母の懷袍別に春あり
⑭春あり成長して浪花にあり
梅は白し浪花橋邊財主の家
春情まなび得たり浪花風流
⑮郷を辭し弟に負く身三春
本をわすれ末を取接木の梅
⑯故郷春深し行々て又行々
楊柳長堤道漸くくだれり
⑰嬌首はじめて見る故園の家黄昏
戸に倚る白髮の人弟を抱き我を
待春又春
⑱君不見古人太祇が句
藪入の寢るやひとりの親の側
8章の構成を
薮入り娘の道行に従って、
場面に沿って6段としました。
1長柄川→2堤下→3茶店→
4在所の農家→5春草路→6故郷の家
第1段:長柄川:①②
第2段:堤下:③④
第3段:茶店:⑤⑥⑦
第4段:在所の農家:⑧⑨
第5段:春草路:⑩⑪⑫⑬⑭⑮⑯
第6段:故郷の家:⑰⑱
以上の構成は、
渡船場に下り立ち
村の玄関先の茶店に立ち寄り、
生家におもむくまで道程を
時系列に従って整理したものです。
その間、この作品は
回想を交えながら薮入りの世界を
叙述しています。
大阪民俗学研究会代表
『大阪春秋』編集委員
大阪あそ歩公認ガイド 田野 登