浦江塾で錦絵に見る水都を話します | 晴耕雨読 -田野 登-

晴耕雨読 -田野 登-

大阪のマチを歩いてて、空を見上げる。モクモク沸き立つ雲。
そんなとき、空の片隅にみつけた高い空。透けた雲、そっと走る風。
ふとよぎる何かの予感。内なる小宇宙から外なる広い世界に向けて。

今度の浦江塾は
4月7日(土)です。

3月27日(火)に妙壽寺を訪ねた折、
案内ハガキをいただきました。
文面は以下のとおりです。

 

郷土誌を見直す『浦江塾』のご案内
大阪を描いた錦絵師初代長谷川貞信の「浪花百景」を
取り上げて、幕末から明治初頭にかけての大阪の情景を
探ってみます。神社仏閣、波止場などのマチの描写から
物売り、遊興、参拝などの人々行動を読み解い
てみます。水の都大阪の案内のため資料集めをしました。
 日時 4月7日(土曜日)午後7時より9時迄
 場所 妙壽寺(福島区鷺洲2-15-10)駐車可
 テーマ 「錦絵に見る水都大阪の情景」
       大阪民俗学研究会代表 田野 登
          文学博士 田野 登先生
4月2日(月)夕5時、関西TV「報道ランナー」に
田野登先生が出演されます。是非ご覧下さい。

 

以下、田野による書き込み。

関テレの「モーリーJAPAN」の「水の都」の編集は
さぞ順調に進んでいることでしょう。
ディレクターとの事前取材に応じ、
あれこれ話す中で、
初代長谷川貞信による錦絵「浪花百景」の内から
水都を画材とした情景を提案しました。

 

そんな訳で
今回の浦江塾では
時間の制約のあるテレビの画像では表せなかった
水都の情景を
丁寧に90分かけて話します。

 

例えば、この「川口の真景」です。
写真図 「川口の真景」(写真浪花百景 上編中編)
  長谷川貞信/画;一荷堂半水/著
  大阪:綿屋喜兵衛 [1868頃(明治初年)]
  大阪市立中央図書館蔵


  
現在、住友倉庫が建つ場所を
中央卸売市場側からの
南向きのアングルです。

 

画讃に依って絵解きをしましょう。
この絵は、巍々たる船番所に
フォーカスされています。
昼夜を問わず、
水都の喉元で睨みを利かしているのです。
喉元を過ぎて
雑喉場に漕ぎ行く漁船からは
棹歌、舵取りの声が
聞こえてくるというのです。

 

初代長谷川貞信の「実景」を
彷彿とさせる画風に
戯作者一荷堂半水の
筆のすさびを読み解こうと思います。

 

話す用意をしている錦絵は
以下の17点です。
 ①樋の口の春景/②桜乃宮春景/③築地蟹島
 ④高麗橋/⑤北新地樋之橋白雨/⑥中の嶋蛸の松
 ⑦玉江橋より天王寺塔遠景/⑧合羽嶋より東を望む
 ⑨川口の真景/⑩安治川橋/⑪川口の新大橋
 ⑫雑喉場/⑬松が鼻/⑭天満宮御旅所
 ⑮四ツばし/⑯住吉高灯籠/
 ⑰*木津川口甚兵への小家 *木津川口:実際は「尻無川口」

 

浦江塾とて
浦江周辺の
福島の「五百羅漢」、「浦江の聖天」
「大仁邑一本松の社」(大仁の八坂神社)を
「水都」に加えます。

今回は、リクエストに応えて
画讃に沿って読み解くという趣向は
如何でしょう。

 

いつもどおり、
参加費無料、手続き不要です。
大阪の歴史と民俗に興味のある方は
どなたでもご参加ください。

 

究会代表
『大阪春秋』編集委員
大阪あそ歩公認ガイド 田野 登