元海上自衛隊の幹部が語る「分隊長」
陸上自衛隊出身の私は分隊長の経験がある。
戦車には分隊長という補職は無い、臨時勤務や候補生の試験では分隊長になる。
「只今より当分隊の指揮を執る」ってね。
ただ海上自衛隊の分隊・分隊長は陸上自衛隊の分隊・分隊長は大きく違う。
分隊は、軍隊編成上の戦術単位のひとつで、陸上部隊においては比較的小規模、海上部隊においては中隊規模のものを指す。
分隊を更に班に分けることも多い。
陸軍における分隊とは、アメリカ英語のsquad(イギリス陸軍ではsection)の訳語として充てられたもので、小隊の下位となり、下士官(軍曹、曹長)たる分隊長によって指揮される小部隊をいうことを指す。
10名前後である場合が多いが、さらに細かく「班」「組」などを設けない場合には、5名前後でも分隊として扱う場合がある。
近代以降の歩兵分隊の場合、小銃を主力として、1丁程度の軽機関銃(又は分隊支援火器、軽迫撃砲等)を装備する場合が多い。
陸上自衛隊の普通科連隊普通科中隊の分隊は規模として班よりも人員数は若干少なく小規模である(約7名ないし8名、班編制は10名)。
海上自衛隊の自衛艦は自己完結型で長期の行動もすることから、内務面の編成に意を用いている。
これが分隊編成で、護衛艦の場合、艦長・副長の下に5つの分隊がある。
各分隊は下記のようにおおむね科と連動しているが、分隊長は必ずしも科長がある必要はない。
たとえば砲雷長が副長である場合、第1分隊では次席幹部の砲術長か水雷長が分隊長となる。
同様に、例えば機関長が副長ではなくとも先任士官(副長の次の幹部)である場合、第3分隊ではやはり次席の応急長が分隊長となることが多い。
また分隊の先任海曹は、人事や昇任などで直接に分隊員の面倒をみる。
第1分隊 - 砲雷科
第2分隊 - 航海科・船務科
第3分隊 - 機関科
第4分隊 - 補給科・衛生科
第5分隊 - 飛行科
なお大日本帝国海軍では、上記のような艦艇の内務管理のための分隊とは別に、海軍陸戦隊を編成する際には、陸軍と同様の分隊を編成していた。
但し、分隊の指揮官は後述の分隊長と区別するために、分隊下士官と呼ばれる。
海上自衛隊で分隊長と言えば幹部自衛官で、海軍なら大尉クラスが分隊長になる。
陸上自衛隊なら2曹か3曹クラスの陸曹、旧日本陸軍なら下士官の伍長や軍曹クラスがなる。
もっとも上等兵でも自衛隊でも陸士長でも分隊長をやることがあるので決まっている訳ではないので要注意だ。
ちなみに大日本帝国陸軍の憲兵では、警察署に相当する部隊として憲兵分隊を運用していた。
なので指揮官の憲兵分隊長は将校なので、分隊長だからって下士官と決めつけてはいけない。
憲兵隊の下位、憲兵分遣隊の上位となっていた。
自衛隊の警務隊では分隊という編成は行われていない。