対テロ作戦とは、テロリズムの損害を最低限にとどめることを目的とする、政府・軍隊・警察などの公的機関による行為・戦術・技術・戦略である。
しばしば対反乱作戦に含まれる。
テロリズムは、個人・武装組織・政府機関・が特定の目的をもって使用する戦術である。
全ての武装組織がテロを戦術として使うわけではなく、テロを禁じることにより立場を強化する場合もある。
アルカーイダをはじめとする多国籍・組織的・広域的なテロ組織が注目されることが多いが、セオドア・カジンスキーといった個人や、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件で死刑になったティモシー・マクベイのように、仲間数人と個人的にテロに及ぶ場合もあり、テロの主体は必ずしも組織化されているとは限らない。
よって、カウンターテロリズムの実行主体は、地域的警察組織から多国籍軍に至るまで幅広い。
対テロ戦争は、アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)を引き金とした、アメリカ合衆国政府とそれに与する政府の有志連合による、国内外における外交、軍事作戦、金融、犯罪捜査、国土防衛、人道支援を通じたテロリズムとの戦いである。
正式名はテロとのグローバル戦争(GWOT: Global War on Terrorism)と呼び、第三次世界大戦やテロとの戦いとも呼ばれた。
アメリカ同時多発テロ事件を起こしたアルカイダの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンの殺害成功(2011年)により、歴史的な区切りを迎えたとされる。
しかし、2014年には、アルカイダよりも規模が大きいISILと世界各国の戦いが勃発している。
対テロ戦争の当事者は大きく有志連合とテロ組織の2つの勢力に分かれる。
アメリカ合衆国を中心とした有志連合はテロリストによる大量殺人への対抗,イスラム過激派を中心としたテロ組織は西側諸国によるムスリム迫害への対抗、という立場を取っている。
自衛のための戦争を行っている、という認識は双方の勢力に共通している。
テロ組織自体は大量殺人の正当化という意味で世界的に批判されているが、テロリズムの撲滅という大義名分を掲げるアメリカが、イスラム諸国の状況を深く理解せずにアルカイダ以外の組織に対して先手必勝で仕掛けた「自衛戦争」により、イスラム諸国の反感を買い、新たなテロ組織の台頭を招いている事実も批判されている。
対テロ戦争は「人類史上最大の連合」とも呼ばれた多くの国家が連合して行っている。
対テロ戦争で行われた作戦によって変動するものであり、特定の国際機構や同盟に規定された単一の国家の連合ではない。
世界に存在する、ありとあらゆる組織を凌駕する圧倒的な戦力を擁する。
対テロ戦争において最も指導的な立場にあるのがアメリカ合衆国であり、イラクやアフガニスタンで対テロ作戦を展開している。
アメリカ合衆国は『四年次国防見直し(Quadrennial Defense Review)』にて国家戦略として国土防衛や大量破壊兵器使用の防止などと並んでテロリスト・ネットワークの打倒を掲げている。
テロ組織とはテロリズムを実践する組織である。
またテロ組織を支援するとされるイランやシリアなどの国家はテロ支援国家と呼ばれる。
冷戦後のテロ組織はイスラム主義の運動と関連しており、従来の分離主義や民族主義の運動と並ぶテロ活動の動機となっている。
小規模で戦力は弱いが、ゲリラ的な活動を主体とし、テロ組織の所在の特定やテロ事件発生の予測と撲滅が難しい。