戦場の怪談 3 ケンダリー基地の怪 | 戦車のブログ

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『雷撃機電信員の死闘』 松田憲雄著の怪談がある。

 

ケンダリー基地の怪異譚は幾つかある。

 

夜な夜な兵員がうなされたり、寝ていた者が急に大声を上げてはね起き、抜刀して暴れたり...。「オランダ人が住民を大量虐殺したので、その怨霊が出るのだ」などとうわさされ、旧海軍軍人なら誰でも知っている「ケンダリー幽霊騒ぎ」は軍医や専門家による調査でも原因は不明であった。

 

 

 

 空母・赤城の水平爆撃隊の隊員(通信)として、ハワイ作戦に参加したことがある松田憲雄(終戦時・兵曹長)は、大戦中に不思議な体験をしている。

 

 

怪事は、松田がケンダリー基地にいたときに起こった。

 


  同地の兵舎は平屋建て百畳ほどの広さで、中央は土間の通路、その両側が板の間の部屋になっていた。夜になると板の間に蚊帳をつって床に就くのだが、兵舎の出入口付近に寝ていた兵隊が真夜中頃になると一様にうなされた。

 

 


  隣の戦友が心配になって、うなされている兵隊を揺り起こすが、当人に異状は見られない。

 


 「夢でも見たのか、この野郎。しっかりしろー、人騒がせな野郎だ」


  と、真夜中にたたき起こされた兵隊が不機嫌な口調で言うものの、また五分とたたないうちにうなされる声が聞こえる。

 


 「この野郎、いい加減にしろ。寝られやしねーや、どうなってんだ」


 「いやーすまん、すまん。何だかわからんが、寝るとすぐ胸を押さえつけられたようで、苦しくなるんだ」

 


 「ふーん、胸に手を乗せてるんじゃねーのか」

 


 「いやーそんなことはないんだが、悪いけど、場所変わってくれないか」

 


 「ウーン、何だか嫌な感じだな。まあーしゃねーから変わってやろう」

 


  そうして、寝床を交換すると、今度は文句を言っていた兵隊が数分でうなり声を上げはじめる。

 

 

先ほどうなされていた兵隊が起き出して、懐中電灯で辺りを探ってみるが何もない。

 

 

とうとう一晩中、変事は続き、兵舎の出入口付近で寝ていた兵隊は一睡もできなかった。

 


  兵隊の体験談をまとめると――急に胸を締めつけられるような胸苦しさを覚えるので、大声を上げて何かを手で追い払おうとするも、体がいうことをきかなくなるそうである。

 


  この怪現象のうわさはまたたく間に広がり、搭乗員や整備員のつわものが挑戦してみたが、大抵の者が幽霊に押さえつけられて、うなされる結果になった。

 

 

結局、原因は誰にも分からなかった。

 


  ケンダリー基地ではまた、こんなこともあった。同基地のすぐ近くに水浴びのできる小川があったが、そこは兵隊ばかりでなく原住民も利用した。

 


  原住民の大人に交じって水浴にやってきた子供たちと、松田は小川で水遊びをしたことが数回ある。

 

 

しかし、後になって振り返ると、たくさんいた子供は皆、男の子だけで、一人として女の子がいなかった。

 


  この謎も、今もって分からないそうである。

 


飛行機乗りの怪異譚も少なくありません。

 

零戦搭乗員の原田要さんの話。

 

 大東亜戦争が始まる直前、イギリスはアジアに多くの植民地を持っていました。

 

 

その一つ、セイロン島(現スリランカ)にハリケーン戦闘機を大量に送り込んでいるという情報をつかんだ日本軍は1942(昭和17)年4月、英東洋艦隊を駆逐するため、コロンボ港を襲撃しました。

 

 

 この空襲時に、ハリケーンに次いで私が最後に追い詰めて墜とした敵戦闘機は「フルマー」でした。大きいからすぐ墜ちると思っていましたが、なかなか墜ちない。

 

 

めちゃくちゃ追いかけ、相手をジグザグ飛行させると敵機との距離が5メートル、10メートルまで接近しますから、相手の顔がよく見えてつらかったですね。

 

 

 深追いし過ぎ、時間を費やした私は集合時間をオーバー。

 

 

燃料も少なくなり、帰艦をあきらめ自爆を決意し目標を物色していたところ、ひょっこり零戦が1機、後ろから上がってきました。

 

 

私の零戦には小隊長のマークが付いていたものですから、喜んでピタッと編隊を組んできました。

 

 

 そこで1人で探すよりも2人の方が母艦を発見する確率も高いので、離れて飛びました。

 

 

いくら探しても一向に見つからず、燃料もほとんどゼロになり、もうダメかと弱気になった時、水平線の彼方に母の顔の形をした雲が浮かんで、「こっち、こっち」と呼んでるように見えました。

 

 

その時です、若いパイロットの機がサーッと急降下していくのが視界に入りました。

 

 

私もその方向へ降りて行くと母艦の姿が小さく見え、奇跡的にたどり着くことができました。

 

零戦搭乗員の体験談です。

 

こういうことって少なくないのです。