今年の白トリュフの会がありました。
毎年のことですが一気にこれで年が去っていく気分になるものです。
特に寒くなるのが遅いこともありなおさらかもしれません。
個人的にはそんな象徴も兼ねている会になってきています。
これも積み重ねの影響というものでしょう。
必然的にその年を振り返る力もかかる気がします。
しかも今回はそれをメニューが如実に表していました。
例年そういう意識はありますがいつも以上に顕著でした。
コンセプト自体がそうだったのが大きいのでしょう。
自分自身の食生活の変化の集大成のようなものでした。
思い返せば1年前はまだまだ色々なものを食べられていたものです。
それがジワジワと顕著に変わっていった一年でした。
その行き着く先はヴィーガングルテンフリーのスタイルでした。
そこに囚われるほどではありませんがそうでないと体の負担が重くなるのです。
この自覚がどんどん進んでしまったのでした。
ということで世界一ヘルシーな白トリュフコースということになりました。
当然ながら例年以上に創作性が高まったと思います。
フレンチと和がベースにイタリアンや中東のエッセンスも入ってくる形でした。
アミューズはクールブイヨンを含めたこうや豆腐の湯葉包み揚げでした。
どことなく小籠包も彷彿させるようなフィンガーフードでした。
噛んだ瞬間に香りが口の中に広がる狙い通りのものでした。
冷前菜はフムスをのせたそば粉のガレット庭園風でした。
まさにガレットのイメージ通りで白トリュフなしでも十分美味しい生地でした。
温前菜は葡萄の葉で人参やキノコを巻いたドルマのナージュ仕立てでした。
これが一番の難題だっと想像します。
トルコ近辺の国で定番の料理ですが日本で良質の葡萄の葉が手に入るかという課題がありました。
つづくパスタはある意味定番のペペロンチーノ仕立てでした。
ただ麺はモロヘイヤと玄米のもので新たな地平という雰囲気でした。
口直しのグラニテは白トリュフとバラのもので香りのマッチングが秀逸でした。
そしてメインが根菜ミルフィーユのロッシーニ見立てでした。
要はヴィーガンロッシーニへのチャレンジでした。
フォアグラに該当する部分の安納芋のペーストは良い感じのボリューム感を出していました。
締めのお茶漬けはもちろん抜群の安定感でした。
デザートが豆乳とごぼうのプリンでした。
この食材の性質がうまく引き出されていました。
小菓子をオレンジと苺のローチョコレートで終えました。
もちろん合わせるワインも自然な作りを極めているようなものでした。
全体を通すといつになく刺激的でありながらライトさもある感覚でした。
バラバラに見えるものが一体となるような面白さがあったのでした。
新たな時代が始まるような予感もあったのでした。
谷 孝祐
2018.12.8