少し前のことです。 恒例の白トリュフの会の打ち合わせがありました。
この世で最高級と言われる食材である白トリュフをふんだんに使ったコースをいただく会です。
ここではその中でも特に良いとされる地域のベストなものを使います。
これは他ではお目にかからないくらい貴重なもののようです。
個人的には十分すぎるほど楽しみなものです。
そしてこのコースはまさに一期一会のものです。
なぜなら毎年0から作り上げるためです。
なので新たな食の組み合わせを生み出すという意味合いもあるかもあるかもしれません。
ということで自分にとって刺激的な機会でもあります。
まずはイメージの固まっている部分からシェフに伝えていきます。
例年はコンセプトから入ることも多いのですが今年はお魚料理からになりました。
この組み合わせがいいだろうとういう明確なヴィジョンが浮かんでいたのです。
その流れでメインのお肉も決まりました。
基本的に食材を決めて調理法を練りあげソースや付け合わせを共有するというプロセスです。
ひとまず一番重要なところがスムーズに固まりました。
ここまできて話題が少し変わりました。
今年のテーマを尋ねられたのです。
そして言語的に明確に定義していなかったことを思い出しました。
ということで感覚をそのまま言葉にする感じで伝えたのでした。
もしかしたらこれが良かったのかもしれません。
今までになくスムーズな印象でした。
5年くらいは開催しているのでシェフが慣れてきたということもあるでしょう。
とにかく同じ画像を見ているがごとく非言語コミュニケーションのズレが少なかった気がします。
これは今までで一番満足のいく打ち合わせにつながったのでした。
さてそのコンセプトですがやはり言い表すのが難しいようです。
あえて表現にチャレンジすると質の異なる伝統が融合ではなくそのまま存在しているだけで協調的ハーモニーが生まれてくるというところでしょうか。
表面的には日仏伊の枠のない共演というイメージです。
おそらく以前よりも緻密で繊細なものになることでしょう。
ここから2ヶ月ほどの試作期間を経てお目見えになります。
毎年のようにシェフに未知のチャレンジをしいてしまっているかもしれません。
ふとこれ以上の道楽はなかなかないのではと思ったのでした。
そう考えるとよりしっかり受け取ろうという気になりました。
谷 孝祐
2016.10.1 21:44