初めて行ったコンサート | 3年前のしこうの楽しみ

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久々にクラシックのコンサートに行きました。
ほぼ毎年のように年末に第九を聴く予定を入れていますが、日本でそれ以外の演目に足を運ぶのはいつぶりかわからないほどです。
今回は急遽知人のお誘いがあったためでした。

運良くちょうど予定を合わせられたので、チケットをお願いしたのでした。
開場時間の少し後にホールに到着し、その雰囲気を一人で味わいながらコーヒーを飲みました。
この勝手知ったる独特な雰囲気が好きだったことを思い出しながら、ふと音楽と自分の関係が未だに不安定である気がしたのでした。

それは慣れ親しんだ安心感とそこに自分が同化していない違和感が同居しているような感覚でした。
これは自己一致のために今後扱うべき課題でしょう。
開演直前に指定された席にたどり着くと、二階席最前列真正面という非常に良い場所が用意されていてありがたい限りでした。

今年は子供がいることもあり第九はパスする方向で考えていたので、替わりの機会が与えられたようにも思いつつ、なんとなく来るべくしてここに来たというような気分になりました。
そんなわけで真剣に聴くスイッチが自然に入ったようでした。
内容はボローニャ歌劇場のメンバーによる演奏会形式のオペラということで、そもそも日本で体験するのは初めてのスタイルのものでした。

前半が『道化師』というオペラのハイライトで、後半がイタリアオペラの名曲選のような構成でした。
メリハリがある選曲で誰でも楽しめるように配慮されているのが好印象でした。
まずパンフレットを読むと、オペラにおいて主に当たるのはストーリーであり、音楽はその表現としての歌詞である言葉の従者であるという意味合いの記載があり、価値観を変えられた気がしました。

音楽の従者という立ち位置をとっていた自分にとって、過去には反応で受け取れなかったであろう記述であるとともに、その当たり前のことが納得できた瞬間でした。
それが影響したのか以前よりもバックの演奏ではなく歌をよく聴いていたように思います。
演奏の質は歌い手もオーケストラも素晴らしく、まさにオペラのストーリーを的確に表現しているかのようでした。

その意味においての完成度の高さは予想外で、良い状態の高級ワインと同じように余韻がずっと感覚に残るかのようでした。
それは、終演しても席から立ち上がる気にならないほどでした。
聴衆も好きな人しか来ていない様子で、アンコールが終わってもほとんどの人がすぐには退席しない状況でした。

そんな共鳴もあったのか、なかなかない心地よい一体感を味わえたように思います。
微細なレベルではここに表現できないくらい多角的な刺激を得られた時間だったので、この影響がどう出てくるのか楽しみです。

谷 孝祐
2015.9.23 22:44