ダヴィンチの至高の楽しみ | 3年前のしこうの楽しみ

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ワシントンの市街地に到着して、まずホテルにチェックインをしました。
そして、少しコーヒーを飲みながら休憩をして、歩いて出かけました。
目的は最低限でもアメリカ合衆国議会議事堂(国会)を見ておこうというものでした。

その前後にナショナルギャラリーを訪れ、もし余裕があったらスミソニアン博物館群にも行こうかと考えていました。
気温30℃くらいでしたがあまり湿気がなかったからか、それとも体の順応がはやかったからなのか、アイスランドとの温度差もそこまでは気になりませんでした。
20分歩くと通過点であるナショナルギャラリーの前に到着しました。

先にするか後にするかと考えながら向かっていたのですが、思っていたよりも空いていたので入ってしまうことにしました。
ナショナルギャラリーは日本的に言うなら国立美術館というところでしょう。
簡単な荷物チェックを受けて中に入りました。

そして、チケットカウンターを探しました。
入場無料だということを知らなかったのです。
しかし、これが良い具合に期待値を下げてリラックスさせてくれたのかもしれません。

良い具合に無意識に持っていたヨーロッパの美術館と同じような緊張感を崩してくれたのでした。
そんな状態で絵を見てまわりながら感じたことは、ここが自分にとって世界一の美術館ではないかということでした。
名画が展示されている美術館は数あれど、その名画を独り占めできる瞬間がある美術館というのはそうそうないものです。

当然のことながら自宅でくつろいぎながら絵を楽しむようなイメージの美術館というのはほとんどありません。
今まで知っている範囲ではチューリッヒの美術館くらいでした。
しかし、ここはそれを超えていました。

モネ、ルノワール、ゴッホなどもさることながら、この美術館は確かフェルメールを5点くらい所蔵していたはずですが、その3点が展示されていて他の人がいない環境で見ることができたのでした。
これがニューヨークだったら人だかりができています。
これだけでも十分すぎですが、最高だったのはダヴィンチのジネヴラ・デ・ベンチの肖像でした。

さすがに独り占めとまではいかないものの、隣の部屋の中心にこの作品を楽しむためかのようにソファーが置かれているのです。
少し遠くから、でも適度な距離で眺める感じです。
しかも、座りながらその部屋の左側に目を向ければ、ボッティチェリがかかっています。

つまり、ダヴィンとボッティチェリがソファーで楽しめるということです。
しかも、これに気づく人はほとんどいないようでした。
結果的に美術鑑賞における生まれて1番の至高の楽しみを味わえたのでした。

そして、普段着のカジュアルな気持ちで超一級の絵画を楽しめるというバランスは、本来のアメリカの良さを踏襲しているように感じ、初めてこの国を牽引してきた人々の偉大さを実感できたのでした。

谷 孝祐
2015.9.9 15:15