ヨーロッパにやってきているからか、初めての海外体験が思い起こされます。
それは高校を卒業して間もない頃でした。
ちょうど3月の終わりくらいだったと思います。
時系列でいうなら今までの乳幼児期を振り返っていた流れと大きく異なりますが、今回はこのテーマを回想してみることにします。
その時は演奏旅行という名目でのドイツ・オーストリアへの渡航でした。
といっても、主たる目的は現地の地域の楽団との相互交流というところでした。
そんなわけで、旅の前半はマンハイムという都市でホームステイしながら、合同練習をすることが主体でした。
ホームステイ先は街から少し郊外に出た住宅地の中にありました。
地下にワインセラーのあったことから、それなりの家庭だったことが伺えます。
毎朝、パンとチーズ・ハムやソーセージがビュッフェのように用意されていました。
午後にはそこのお母さんとお茶を飲むようなこともありました。
今更ながら、なかなか優雅に過ごさせてもらえたように思います。
そして、楽団員であるこの家の子は同年代だったため、若者が集まるようなサッカーバーなどにも連れていってもらいました。
これも刺激的な体験だったと思います。
また、2度ほどあった演奏の機会もなかなか好評でした。
自分が演奏してあそこまでのスタンディングオベーションを経験したことは他にありません。
今でも目に焼き付いているほどの印象深さがありました。
そして、滞在の最終夜はパーティーが催されました。
ビールを飲みながら踊り続けるなかなかハードなものでしたが、その高揚感は全てを洗い流して共鳴を促すようなものだったのではないかと推測します。
この街での時間は一週間にも満たないくらいだったと思いますが、良くも悪くもドイツという国に完全に魅了されたのでした。
この体験がなければ、ドイツ音楽留学に向けて努力することもなかったのかもしれません。
旅の後半はオマケのような感じで、ザルツブルクを経由してウィーンまでの観光旅行でした。
前半に比べて楽しいものの表面的な感じがしてしまった記憶があります。
それにしてもこのように思い出してみると、濃密だっただけにマンハイムでの体験を受け取りきれていないような気がしてきます。
少し意識を向けて、この時に自分にどんな変化が起きていたのか、キャッチアップしてみようと思います。
谷 孝祐
2015.8.29 15:16